屋根修理で使える補助金・助成金|条件や申請方法を解説

昨今は、地球温暖化による異常気象で自然災害が増えています。地域によっては、屋根の瓦が吹き飛んだり、屋根材の破損や棟板金の浮きなどで雨漏りが生じたりすることもあるでしょう。
そんな屋根の補修には、補助金や助成金を活用するのも有効な方法です。今回は、屋根修理で活用できる補助金・助成金の条件や申請方法について詳しく解説します。
屋根修理で活用できる補助金・助成金は5種類
屋根修理で活用できる補助金・助成金は主に5種類あります。まずは、各制度の概要を押さえておきましょう。
長期優良住宅化の補助金事業
長期優良住宅化の補助金事業には、国土交通省が推進する「長期優良住宅化リフォーム推進事業」があります。本事業は、既存の戸建や共同住宅が対象です。
瓦屋根の緊結強化のような防災対策のほか、子育て世帯の暮らしやすさの向上や3世代同居を目的とした屋根裏断熱材の施工などが該当します。ライフステージの変化でリフォームを検討中の方におすすめです。
耐震性能改善の補助金事業
国土交通省の「耐震化支援制度」に基づく耐震性能改善の補助金事業は、各自治体が設置しています。対象や内容は地域で異なり、実施もまだ限定的です。
たとえば、千葉県では耐震診断や改修を補助する「市町村耐震関連補助事業」、神奈川県では昭和時代の木造住宅を対象とする「木造住宅耐震改修工事等補助制度」が実施されています。屋根工事の詳細については、管轄の自治体に確認してみましょう。
地球温暖化・省エネ対策の補助金事業
地球温暖化・省エネ対策の補助金事業には、国土交通省・環境省・経済産業省の3省が連携した、住宅省エネ2025キャンペーンがあります。
屋根工事では新築・既存住宅を問わず、断熱性の追加や遮熱塗料の塗布、断熱性を高める屋根材への交換などが対象です。省エネ効果が大きいほど、修理費も高額になります。
大規模災害時の補助金制度
大規模災害時の補助金制度は、主に次の3つです。
- 被災者生活再建支援制度(内閣府)
- 建築物耐震対策緊急促進事業(国土交通省)
- 住宅・建築物防災力緊急促進事業(同上)
これらは災害の発生を想定した制度ですが、被災者の修理費用を全てカバーできるとは限りません。そこで、全国各地の自治体が必要に応じて補助金・交付金制度を実施しています。
耐風性能改善の補助金制度
耐風性能改善の補助金制度は、国土交通省が「屋根の耐風診断および耐風改修に関する事業」を実施しています。具体的には、既存住宅の耐風性が十分でない屋根を対象に診断・改修費を補助する制度です。
本制度に基づき、特に台風被害の多い千葉市・松山市・碧南市・徳島県・南相馬市などの各自治体が、それぞれ制度を設けています。
屋根修理で補助金を受け取るための条件
屋根修理で補助金を受け取るための条件は、主に次の5つです。申請前に、該当の有無を確認しておきましょう。
省エネや耐震性向上などに効果があること
まず、省エネや耐震性向上などに効果があることが条件になります。屋根修理の場合は、省エネ・耐震・耐風・防災などが中心です。申請時に工事の必要性を書類で提出し、完了後は写真や数値などで効果を証明する必要があります。
リフォーム工事の事前申請をしていること
リフォーム工事の事前申請をしていることも、条件のひとつです。屋根修理でいえば、瓦の葺き替えや軽量屋根材への変更などが該当します。着工前の申請が必須であるため、あわせてリフォームする箇所があるかどうかを早めに検討しましょう。
補助金制度の対象となる施工業者に依頼すること
屋根修理で補助金を受け取るためにも、補助金制度の対象となる施工業者に依頼しましょう。多くの自治体は、修理の品質や地域活性化を目的に実績・資格のある業者を指定しています。対象外の業者に依頼した場合は、申請が認められないこともあるため、注意が必要です。
居住用の住宅であること
補助金の対象となる建物は、居住用の住宅であることが条件です。特に、既存住宅のリフォームに限定されます。事務所や店舗・賃貸物件および新築工事は対象外です。
申請時に住民票・登記事項証明書を提出し、持ち家に居住する事実を示さなければなりません。なお、一部の自治体では賃貸住宅も認められています。
住民税などの税金を滞納していないこと
補助金の原資となる住民税などの税金を滞納していないことも、補助金を受け取るための条件のひとつです。申請者に国民健康保険料や市区町村税・固定資産税などの未納があれば、申請は認められません。多くの自治体では、納税証明書の提出が必要です。
屋根修理の補助金はいくらもらえる?金額の目安を紹介
この章では、屋根修理で実際に補助金としてもらえる金額の目安を紹介しましょう。
工事の種類ごとの補助金相場
工事の種類ごとの補助金相場は、以下の通りです。
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工事の種類と例 |
補助金の相場 |
備考 |
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耐震(屋根の葺き替え・軽量化など) |
約50~150万円 |
耐震診断を含む |
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耐風(瓦屋根の改修など) |
約20~56万円 |
強風被害の地域に多い |
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省エネ対策(太陽光発電設置・断熱改修・遮熱塗装など) |
約5~40万円 |
工事内容によって差がある |
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大規模災害時の応急工事 |
約70万円 |
台風・地震などの被災住宅の緊急修繕に適用される |
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住宅性能全般の向上の工事(リフォーム等の屋根修繕を含む) |
約80~210万円 |
総合的な断熱・耐震・劣化対策に適用される |
詳細については、各自治体の公式サイトなどで確認しましょう。
屋根材別の補助金相場
屋根材別の補助金相場は、材質の違いによって金額に幅があります。
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屋根材の種類 |
工事費用の相場 |
補助金相場の目安・備考 |
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瓦屋根(和瓦・陶器瓦など) |
約120~200万円 |
上限55.2万円の自治体あり |
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スレート屋根(コロニアルなど) |
約120~200円 |
30坪規模の事例 |
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ガルバリウム鋼板屋根 |
約85~240万円 |
上限30万円の自治体あり |
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軽量屋根材・アスファルトシングル |
約60~120万円 |
30坪規模の事例 |
上限を定めている自治体もあるなか、工事費用は比較的高額です。修繕規模によって金額が大きく異なるため、申請前に確認しましょう。
※「ガルバリウム鋼板」は、日本製鉄株式会社の登録商標です。
※「コロニアル」は、ケイミュー株式会社の登録商標です。
補助金の申請から受給までの5ステップ
この章では、補助金の申請から受給までの5ステップについて説明します。一連の流れをつかんでおきましょう。
自治体の公式サイトで利用できる補助金制度を調べる
まず、自治体の公式サイトで利用できる補助金制度を調べます。各自治体は、政府の方針に基づいて制度を設けていますが、先述のように必ずしも実施しているとは限りません。
お住まいの地域に屋根修理を取り扱う補助金制度があるかどうか、事前に確認したほうが安心です。また、制度には受付期間や申請条件があり、予算がなくなれば終了します。公式サイトで確認したうえで、電話やメールで現状を問い合わせておきましょう。
補助金に詳しいリフォーム業者を探し見積もりを依頼する
次に、補助金に詳しいリフォーム業者を探して見積もりを依頼しましょう。屋根修理は、工事の費用相場からも分かる通り、工事内容や材質によって金額に差が出ます。また、多くの自治体は補助金額に上限を設けており、条件を満たさなければ利用できません。
ご家庭の予算内に収めるには、工事にかかる費用を事前に把握しておく必要があります。管轄地域に複数の制度がある場合は、併用の可否や活用すべき制度についても相談するとよいでしょう。
必要書類を揃えて自治体の窓口へ申請する
必要書類が揃ったら、自治体の窓口へ申請しましょう。住民票や登記事項証明書・納税証明書などの書類は、取り寄せに時間がかかります。
また、申請時に必要な工事前の写真撮影は、修繕箇所によっては業者に依頼したほうが安全ですが、混んでいればすぐには予約できないかもしれません。
自治体によって必要書類や受付期間も異なるため、全ての書類が揃うまでの時間も考慮して準備を進めましょう。
自治体からの交付決定通知後に工事を開始する
自治体からの交付決定通知後に工事を開始するのも重要なポイントです。申請後、自治体では交付の可否を審査し、特に問題がなければ、約1〜2ヵ月後に交付決定通知を発送します。通知を受け取る前に着手した場合は、対象外となるため注意が必要です。
実際、川越市(埼玉県)・水戸市(茨城県)・静岡市(静岡県)・宮若市(福岡県)では、条件に「交付決定前の着工は対象外」と明記されています。この規定は多くの自治体で共通するため、申請前に必ず要綱を確認しておきましょう。
工事完了後に実績報告書を提出して補助金を受け取る
最後に、工事完了後に実績報告書を提出して補助金を受け取ります。報告書には、工事前後の写真・契約書や領収書などの添付が必要です。
完了検査を求められる自治体もあり、提出期限を過ぎると対象外となります。また、報告書に不備があれば再提出となり、その分、補助金の受け取りも遅れるでしょう。管轄の自治体の公式サイトで、報告書の提出から受給までの流れを把握しておくとスムーズです。
屋根修理の補助金を利用する際の6つの注意点
この章では、屋根修理の補助金を利用する際の6つの注意点について説明します。申請前に、ひと通り目を通しておくと安心です。
補助対象の範囲を確認する
補助対象の範囲を確認する必要があります。屋根の修理といっても、耐震や省エネなどの性能向上が中心で、経年劣化や美観目的・新築工事は対象外です。また、実施している制度自体も各自治体で異なるため、注意しましょう。
複数の補助金制度は併用できないケースが多い
複数の補助金制度は併用できないケースが多く、どの制度を活用すべきかの検討も必要です。ただし、屋根修理と窓・外壁など別工事との組み合わせは、認められる場合があります。管轄の自治体の制度要綱を確認しましょう。
補助率・上限額を把握する
補助率・上限額を把握するのも重要です。屋根の破損状態が酷い・修理範囲が広い・屋根材にこだわる場合は、高額になるでしょう。補助金でどの程度カバーできるのかを事前に把握しておいたほうが、予算を立てやすくなります。
工事前の申請が必須
補助金を受け取るためには、先述の通り、工事前の申請が必須です。早く修理したいと焦って先に工事を依頼してしまうと、対象外となります。自然災害で破損が酷い場合は、応急処置を施したうえで速やかに申請準備を進めましょう。
書類の不備に注意
書類の不備に注意しましょう。不足や誤りがあれば、再提出や補助金の入金遅延につながります。事前に書類名や取り寄せ先をリスト化し、念のため抜けや漏れがないよう申請前に照合してチェックすると確実です。
業者選びに注意
業者選びにも注意が必要です。昨今は、法外な手数料の請求や一部の補助金の搾取など、補助金制度を悪用する詐欺も増えています。複数の業者から相見積もりを取り、自治体の認定する業者に依頼するようにしましょう。
まとめ
屋根修理で補助金や助成金を活用すれば、経済的負担を軽減できます。ただし、多くの自治体は各地域の実情に合わせて制度を設けており、実施も限定的です。
また、申請時は、屋根修理が該当するかの確認や写真・書類の提出、登録業者への依頼が必要で、審査に時間もかかります。余裕をもって準備し、効率的に手続きを進めましょう。
執筆年月日:2025年10月
※内容は2025年10月時点の情報です。法律や制度は改正する場合があります。
