コンクリート塗装の方法は?適切なメンテナンス時期や手順・塗料を紹介

  • 屋根/外壁
コンクリート塗装の方法は?適切なメンテナンス時期や手順・塗料を紹介

コンクリートは丈夫な素材ですが、経年にともなう汚れや劣化は避けられません。美観を保つためには塗装が必要です。

コンクリート塗装のひび割れや汚れが目立つようになり、「そろそろ塗装をした方が良いだろうか」と検討している方も多いのではないでしょうか。

今回は、コンクリート塗装の適切なメンテナンス時期や手順を紹介するとともに、コンクリート塗装に使用する塗料、失敗しないための注意点について解説します。

コンクリート外壁における塗装の必要性

コンクリートは、セメントに砂や砂利、水を混ぜ合わせた素材です。耐久性に優れていることから、建物の外壁でも多く採用されています。しかし、外壁は雨風や紫外線にさらされる環境下にあるため、経年とともに劣化が進みます。コンクリート外壁の寿命を延ばし、美しい景観を保つためには、塗装が必須です。
ここではコンクリート外壁における塗装の必要性を、「汚れやカビの防止」と「劣化部分の補修」の2つの観点から解説します。

汚れやカビの防止

コンクリート外壁における塗装は、汚れやカビの防止に有効です。

コンクリート外壁は、水分を吸収しやすい性質があります。雨水が染み込んだコンクリートは、汚れやカビの発生確率が高い状態です。コンクリート外壁を塗装しないで放置していると、やがて汚れやカビによる黒ずみが目立ちはじめます。汚れの度合いによっては、建物全体の見栄えが悪くなるでしょう。

コンクリート外壁に塗装を施した場合、塗料による塗膜ができます。この塗膜がコンクリート外壁を保護する役目を果たし、結果的に汚れやカビの防止に役立ちます。

劣化部分の補修

コンクリート外壁の塗装作業は、ひび割れや損傷を早期に発見し、劣化部分の補修をする機会でもあります。

外壁をコンクリート塗装する場合、必ず劣化部分を補修してから作業を行います。ひび割れや汚れなどが残ったまま塗装を行うと、表面に凹凸ができ、仕上がりに影響がでてしまうからです。塗装と補修を適切に行うことで、建物の寿命を延ばし、美観の維持が可能となります。

コンクリート外壁の適切なメンテナンス時期

コンクリート外壁の耐用年数は、10〜15年が目安です。ただし、外壁の環境や劣化状況によっては、早期にメンテナンスが必要となる場合もあります。コンクリート外壁の適切なメンテナンス時期は、耐用年数よりも劣化の状況で見分けることをおすすめします。

コンクリート外壁の主な劣化症状は以下です。 

  • ひび割れ
  • 膨れや剥離
  • カビやコケ

上記のような劣化症状が見られた場合、メンテナンス時期として塗装や補修といった対応をすることをおすすめします。

ひび割れ

コンクリート外壁のひび割れは、劣化症状のひとつです。ひび割れが起こる主な原因は、乾燥による収縮です。コンクリートの中の水分が蒸発し、体積が縮むことでひび割れを引き起こします。これは「乾燥収縮」とも呼ばれ、コンクリートやモルタルなどの材料で起こる現象です。

膨れや剥離

塗膜が膨らんでいたり剥離していたりする場合も劣化しています。コンクリート内にある鉄筋は、アルカリ性のコンクリートで守られた状態です。しかし、ひび割れから酸性の雨が侵入すると、徐々に中性化が進みます。中性化によって鉄筋が腐食し、サビが発生すると、内部が膨張してコンクリート表面に膨れや剥離が発生するのです。

カビやコケ

日当たりや風通しが悪い場所にあるコンクリート外壁には、カビやコケが発生します。カビやコケは、建物の内部に悪影響を与えるものではありません。しかし、建物の見栄えは悪くなります。長期間放置しておくと簡単に落とせなくなるため、定期的な掃除をおすすめします。

コンクリート外壁の塗装手順

コンクリート外壁の塗装は、専門業者に依頼するのが一般的ですが、DIYでの塗装も可能です。コンクリート外壁の基本的な塗装手順は、以下の5ステップです。

  1. 洗浄
  2. 下地補修
  3. 養生
  4. 塗装
  5. 乾燥

それぞれのステップを詳しく解説します。

1.洗浄

まずは、塗装する部分に付着している汚れやほこりを丁寧に落とします。これは外壁と塗料との密着性を高めるためです。ブラシなどを利用し、隙間の汚れも取り除きます。高圧洗浄機を使用した場合は、水分が残らないよう十分に乾燥させてください。

2.下地補修

下地となるコンクリートにひび割れや凹凸がある場合は、補修用モルタルなどを使用して補修します。ひび割れの上に塗装をすると、塗料が剥がれやすくなります。

3.養生

コンクリートが付着して困る箇所は、養生テープや養生シートを使って保護をしてください。

4.塗装

塗装は段階的に行いましょう。まずは下塗り材を塗布し、十分に乾いた後、上塗り材を塗布します。2度塗りまたは3度塗りをすると、よりきれいに仕上がります。 

コンクリート外壁の塗装は、手間のかかる作業です。DIYの場合は、材料調達や施工不良のリスクがともなうことを理解したうえで行ってください。

コンクリート塗装で使われる塗料・塗装方法

コンクリート塗装で使われる塗料や塗装方法には、さまざまな種類があります。塗料によって、特徴や用途が異なります。ここでは、コンクリート塗装で使われる代表的な塗料とその塗装方法についてみていきましょう。

撥水剤

撥水剤は、コンクリートの防水性を保つための塗料です。防水性を復元するだけでなく、コンクリートの中性化を防ぐ効果もあります。

無色透明のためコンクリートの質感を残せる一方、ひび割れや汚れなどを隠すことはできません。 

撥水剤の費用相場と耐用年数は、以下のとおりです。 

費用相場

耐用年数

1,500〜2,000円/㎡

2〜7年

費用は比較的安価ではあるものの、耐用年数は短いため、こまめなメンテナンスが必要です。

クリア塗料

クリア塗料(クリヤー塗装)とは、撥水剤よりも保護機能に優れた塗料です。雨風や紫外線などからコンクリートを保護し、耐久性を高めるのに役立ちます。無色透明のため、コンクリートの質感や色合いを損なうこともありません。撥水剤で防水性を高めた後に、クリア塗料で表面を保護する方法もあります。

クリア塗料の費用相場と耐用年数は、以下のとおりです。

費用相場

耐用年数

3,000〜4,500円/㎡

5〜15年

クリア塗料は2回塗りまたは3回塗りが必要なため、費用は割高です。上に塗り重ねることで塗膜が厚くなり、より強力に保護ができます。耐用年数は長いものの、耐久性を維持するためには、定期的なメンテナンスを行ってください。

弾性塗料

弾性塗料とは、伸縮性がある塗料です。塗料自体に伸び縮みする性質があるため、コンクリートのひび割れを防ぐ効果が期待できます。

弾性塗料は、シーラーと呼ばれる下塗り塗料を塗布した上に、重ね塗りをするのが一般的です。弾性塗料を塗布することによって汚れや補修痕などを隠せますが、コンクリートの質感は無くなります。 

弾性塗料の費用相場と耐用年数は、以下のとおりです。

費用相場

耐用年数

2,000〜3,000円/㎡

8〜15年

弾性塗料の耐用年数は、使用する塗料や工法によって大きく異なります。分厚く塗ることで耐用年数は延ばせますが、その分費用は高くなります。

再現工法

再現工法とは、新築時と同じような外観を可能な限り復元する工法です。

コンクリート塗装における再現工法では、コンクリート打ちっぱなし特有の質感を再現することが求められます。単なる塗り直しとは異なり、施工には高度な技術が必要です。そのため、施工できる業者は限られています。 

再現工法の費用相場と耐用年数は、以下のとおりです。 

費用相場

耐用年数

5,000~7,000円/㎡

15年~20年

高度な技術が求められることに加え、作業工程の多さや施工に時間がかかるといった理由から、再現工法の費用は高額となります。新築のような外観を取り戻したい方や、きれいな仕上がりを求める方にはおすすめです。

コンクリート塗装で失敗しないための注意点

コンクリート塗装は、適切な方法と手順で行わないとかえって建物を傷める可能性があります。コンクリート塗装で失敗しないための注意点について、確認しておきましょう。

DIYの場合

DIYでコンクリート塗装を行う場合、正しい作業手順に加え、適切な塗料を選ぶことが欠かせません。塗料によって、塗装方法や乾燥時間は異なるため、作業前には必ず標準塗装仕様を確認してください。

塗料はムラがないよう、均一に塗ることも大切です。ムラがあると見た目が悪いだけでなく、塗装が剥がれやすくなり、劣化が進行しやすいため注意しましょう。

大きなひび割れがある場合、内部にまで損傷が及んでいる可能性があります。表面のみの塗装はDIYで対応可能ですが、内部の工事には専門的な知識が必要です。適切な補修を行わないと建物の安全性にも影響を与えるため、専門の業者に依頼することをおすすめします。

業者に依頼する場合

コンクリート塗装を業者に依頼する場合、必ず複数の業者から相見積もりを取り、比較検討をしてください。費用をおさえたいからといって、安すぎる見積もりには注意が必要です。質の低い材料を使用していたり、作業が不十分だったりするケースがあります。また、保証期間やアフターサービスの有無についても確認しておくと安心です。

料金だけでなく、口コミや実績、サービスなどを比較し、信頼できる業者に依頼しましょう。

まとめ

コンクリートは経年劣化する素材です。塗装を施すことで、耐久性を高められ、建物の美観も保てます。ひび割れや汚れなどが見られた場合は放置をせず、早めにメンテナンスを行いましょう。

コンクリート塗装はDIYも可能ですが、建物の劣化状態を把握したうえで、使用すべき塗料を選ぶ必要があります。また、見栄えが悪くなったり、失敗したりといったリスクもあるため、きれいな仕上がりを求める場合は専門の業者に依頼することをおすすめします。

執筆年月日:2024年11月

記事一覧に戻る