外壁材の種類|それぞれの特徴や選び方について紹介

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外壁材の種類|それぞれの特徴や選び方について紹介

外壁選びは、家の印象や機能性を左右する重要なポイントです。しかし、種類が多くて、何を基準に選べばいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。

今回は、外壁の種類と特徴、選び方のポイントを詳しく解説します。理想とする外壁のデザインや機能性を把握するためにも、ぜひ参考にしてください。

外壁の種類と特徴

外壁は「建物の見た目を左右するもの」という印象があるかもしれません。しかし、外壁にはデザイン面のみでなく、住まいの環境を守る役割もあります。

外壁材は、種類によって性能に違いがあります。選んだ外壁の特徴を理解していないと、正しいメンテナンスができません。場合によっては外壁の寿命を短くしてしまう可能性もあるため、注意が必要です。

ここでは、住宅でよく使われる外壁の種類と特徴を詳しく解説します。

窯業系サイディング

窯業(ようぎょう)系サイディングは、セメントを主成分とし、繊維質や増量材を混ぜて板状に加工した外壁材です。近年、多くの住宅で採用されています。

窯業系サイディングの特徴は以下です。

窯業系サイディングの特徴

メリット

・バリエーションが多く、さまざまな住宅デザインに対応できる
・防火性・遮音性が高い
・初期費用が安い
・施工期間が短い

デメリット

・防水性がやや低い
・蓄熱性が高い
・定期的なメンテナンスが必須

窯業系サイディングは、デザインの自由度が高く、初期費用を安く抑えられる点が魅力です。一方で、塗装やシーリング補修といった定期的なメンテナンスが必要です。初期費用は安いものの、維持費はやや高くなることに注意しましょう。

金属サイディング

金属サイディングは、金属板に断熱材を組み合わせた外壁材です。金属の素材感が、シャープでスタイリッシュな印象を与えます。

金属サイディングの特徴は以下です。 

金属サイディングの特徴

メリット

・腐食しにくく、長持ちする
・軽量で耐震性に優れている
・断熱材を内蔵しているため防火性・遮音性が高い
・凍害性に優れている

デメリット

・凹みや変形のリスクがある
・サビやすい
・表面の凹凸や柄のバリエーションが少ない

金属サイディングは、耐久性や断熱性の高さが魅力です。しかし、金属の性質上、温度や変化によって変形やサビが生じます。住まいの環境に合っているかを見極める必要があります。

近年、注目されているガルバリウム鋼板は、金属サイディングの一種です。従来の素材よりもサビに強く、耐久性にも優れていることから外壁の主流になりつつあります。

木質サイディング

木質サイディングは、天然木を加工した外壁材です。独特の温かみや質感が特徴です。和風からモダンまで幅広いデザインに対応し、高級感のある外観を演出できます。

木質サイディングの特徴は以下です。 

木質サイディングの特徴

メリット

・多様なテイストに対応可能
・温かみと自然な風合いがある

デメリット

・雨水や湿気で腐りやすい
・材料費や施工費が高い
・定期的な点検が必須
・防火地域では使用できない場合がある

木質サイディングは、木の自然な風合いを重視する方に好ましい外壁材です。ただし、ほかの外壁材に比べて耐久性は劣るため、こまめなメンテナンスが必要です。使用する木の質や加工の有無にもよりますが、全体的な費用は高い傾向にあります。

モルタル外壁

モルタル外壁は、セメントと砂と水を混ぜた材料を、職人が手作業で塗り付ける外壁材です。つなぎ目がなく、スッキリとした見た目に仕上がります。

モルタル外壁の特徴は以下です。 

モルタル外壁の特徴

メリット

・オリジナリティのある仕上がりが可能
・耐火性が高い
・つなぎ目がなく、シーリング補修が不要

デメリット

・塗装による防水対策が必須
・施工費が高い
・汚れやすく、ひび割れしやすい
・職人の技術力によって仕上がりが左右される

モルタル外壁は、デザインの自由度が高いため、デザイン性を重視する方に向いています。メンテナンス費用がかかることや業者選びの重要性などの注意点は、あらかじめ理解しておきましょう。

ALC外壁

ALC外壁は、軽量気泡コンクリートを板状にした外壁材です。コンクリートの約1/4の軽さのため、建物の負担を軽減できます。高層ビルや公共施設にも採用されるほど、信頼性が高い素材です。

ALC外壁の特徴は以下です。 

ALC外壁の特徴

メリット

・耐火性・断熱性が高い
・耐久性が高い
・耐震性が高い

デメリット

・吸水性が高く、定期的なメンテナンスが必要
・バリエーションが少ない
・つなぎ目が多い
・初期費用・メンテナンス費用が高い

ALC外壁は機能面が優れているため、快適さと安全性を重視する方におすすめです。耐久性はありますが、防水機能がない点には注意が必要です。定期的な防水塗装を行うことで長持ちします。

しっくい壁

しっくい壁は、水酸化カルシウムを主成分とした外壁材です。職人が手作業で塗り仕上げるため、独特な風合いや高級感を得られます。

しっくい壁の特徴は以下です。 

しっくい壁の特徴

メリット

・バリエーションが豊富
・耐久性が高い
・防火性が高い
・カビや臭いが発生しにくい
・アレルギーの原因物質が少ない

デメリット

・乾燥や地震でひび割れしやすい
・施工費用が高い
・工期が長い
・職人が少ない

しっくい外壁は、費用や工期の面で負担があるものの、耐用年数は30〜100年以上と非常に優れた耐久性が魅力です。近年、しっくいを扱える技術者は減少しているため、技術のある職人の確保に苦戦する可能性があります。

タイル

タイル外壁は、粘土や石材を高温で焼き固めた外壁材です。耐久性の高さと高級感のある質感が高く評価されています。

タイルの特徴は以下です。 

タイルの特徴

メリット

・サイズ・色・表面の凹凸などバリエーションが豊富
・非常に硬く傷つきにくい
・吸水性がほとんどなく、雨の影響を受けにくい
・塗り替えが不要

デメリット

・初期費用が高い
・施工不良やつなぎ目の不具合によって、浮きや剥がれが生じる

タイルは耐久性が高く、経年劣化が少ないため、美しい状態を長く保てます。初期費用は高めですが、塗り替えなどのメンテナンスは不要です。長期的に見て維持費用が抑えられるため、コストパフォーマンスに優れた外壁材といえます。 

レンガ

レンガは、粘土に砂や泥を混ぜ、型に入れて乾燥または焼き固めた長方形の外壁材です。自然素材を使うため、製造過程で生じる焼きムラや成分の違いが独特の風合いを生み出し、経年変化も楽しめる外壁材です。

レンガの特徴は以下です。 

レンガの特徴

メリット

・紫外線や雨風に強く、経年劣化しにくい
・耐熱性・断熱性が高い
・防音性に優れている

デメリット

・輸入材が多いため初期費用が高い
・撤去や修繕が難しい
・熱が逃げにくい

レンガ外壁は、費用が割高ながらも美観と機能性に優れた外壁材です。修繕が難しい、施工できる業者が少ないといったデメリットも把握しておきましょう。 

※ガルバリウム鋼板は、「日本製鉄株式会社」の登録商標です。

外壁材の選び方

注文住宅の外壁材選びでは、デザイン性、耐久性・機能性、価格のバランスを考えることが重要です。それぞれどのように考慮すると良いのか、詳しく解説します。

デザイン

家の外観は、第一印象を決める重要な要素です。外壁材を選ぶ際は、色や素材、質感といったデザイン性にこだわることが大切です。家全体のコンセプトに合ったデザインを選ぶだけでなく、周囲の環境や近隣の住宅との調和も意識すると良いでしょう。

デザインや色は、面積の大きさや光の当たり方によって見え方が変わります。気に入って選んだはずなのに、実際の仕上がりがイメージと違ったというケースは、外壁選びでよくある失敗談です。

外壁は、頻繁に変更するものではありません。後悔しないよう、事前にサンプルやシミュレーションを活用し、慎重に検討しましょう。色や柄などにこだわりがある場合は、希望に近いデザインの外壁を業者に提案してもらう方法もおすすめです。

機能性・耐久性

外壁は、種類によって耐久性や耐火性、断熱性、遮音性などの機能が異なります。デザイン性だけでなく、機能面を比較して選ぶことも重要です。住宅環境に適した外壁を選ぶことで、快適な暮らしを確保できます。 

耐久性が高い外壁でも、寿命を伸ばすためには定期的なメンテナンスが必要です。以下の表は、メンテナンス時期の目安です。 

メンテナンスの目安

窯業系サイディング

8~10年

金属系サイディング

10~15年

木質系サイディング

3〜10年

モルタル

8~10年

ALCパネル

10~15年

しっくい壁

10~15年

タイル

15〜20年

レンガ

15〜30年

外壁の機能性・耐久性を理解し、環境や予算に合った選択をしましょう。

価格

外壁材を選ぶ際は、価格の違いに注意が必要です。デザインや耐久性のみで選ぶと、予算を大幅に超える場合があります。外壁の面積も費用に大きく影響するため、事前にどのくらいの面積が必要かを把握しておきましょう。 

外壁材の種類ごとに、価格の目安をまとめました。 

外壁材の価格目安(1㎡あたり)

窯業系サイディング

3,000円~

金属系サイディング

4,000円~

木質系サイディング

6,000円~

モルタル

4,000円~

ALCパネル

7,000円~

しっくい壁

6,000円~

タイル

12,000円~

レンガ

30,000円〜

まずは予算を基準に外壁材を選び、次にデザイン性や機能性・耐久性を比較し、バランスを考えながら選ぶと良いでしょう。費用を抑えたい場合は、初期費用を抑えるのか、メンテナンス費用を抑えるのかを明確にし、業者に相談するのがおすすめです。

まとめ

外壁には、さまざま種類があり、特徴に違いがあります。外壁を​​選ぶ際には、デザインや機能性、価格、購入後のメンテナンスなど、総合的かつ長期的な視点で判断することが大切です。

どの種類の外壁が適しているのかを判断するには、専門的な知識が必要です。信頼のできる業者に依頼し、住宅環境やご家庭の状況に合った外壁を選びましょう。

執筆年月日:2024年12月

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