外壁塗装の費用相場は?適正価格や安く抑えるコツを紹介

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外壁塗装の費用相場は?適正価格や安く抑えるコツを紹介

家の外壁の劣化は風雨の侵入や内部構造の腐食につながります。外壁塗装などを行い、早めの処置を施すことが重要ですが、費用面が気になる人も多いでしょう。一般的にどれくらいの費用がかかるのか、外壁塗装の費用相場や安く抑えるコツをご紹介します。

外壁塗装の費用内訳

外壁塗装の費用には、塗料代に加えて人件費や足場代などが含まれます。業者から受け取る見積書にはさまざまな項目が書いてあり、どの作業内容を指すものかがわからないと、工事を不安に感じることもあるでしょう。 

一般的な外装塗装の工事にかかる費用について、内訳を詳しく解説し、各費用の相場をご紹介します。

塗料代

一般的に外壁塗装費用の2〜3割は塗料代です。かかる費用は塗料の種類によって異なります。 

遮熱性や断熱性に優れている、耐用年数が長いなどの特徴を持つ塗料は高額な傾向にあります。塗装面積の広さに応じて総額が高まるため、どのような塗料を用いるかは予算も考えながら検討するとよいでしょう。 

ただし安さを優先しすぎると、早期に劣化し塗り替えが必要になる場合があります。長く住み続けたい住まいなどは、塗り替えも含めたトータルの費用を考慮して、塗料を選びましょう。 

代表的な塗料と費用相場は下記のとおりです。 

【シリコン塗料】
1平方メートルあたり2,000~3,500円程度の塗料です。透過性に優れているため結露の発生しにくいのが特徴で、家屋を水分や湿気から守ってくれるメリットがあります。耐用年数7〜15年程度と寿命も十分にあり、近年人気のある塗料です。 

【ウレタン塗料】
1平方メートルあたり1,700〜2,500円程度の塗料です。比較的、塗装面を選ばず使用が可能で、木材・金属・モルタル・コンクリートなどに塗装しても、良く伸び密着性に優れています。ただし、仕上がりに特有の光沢がある点には留意しましょう。耐用年数は5〜10年程度です。 

【フッ素塗料】
1平方メートルあたり3,500~5,000円程度の比較的高価格な塗料です。耐久性が高く、耐用年数は12〜20年と長い寿命を誇ります。酸性雨や紫外線に強い、汚れを落としやすいなどの性質もあり、ビルやマンションの塗装にもよく使われます。 

【アクリル塗料】
1平方メートルあたり1,000~1,800円程度の、安価な費用相場が特徴の塗料です。発色に優れていますが、耐用年数が3〜8年と短いため、長く住む家屋の外壁塗装には向きません。外壁全体ではなく頻繁に塗り替える箇所に使用するとよいでしょう。 

ご紹介した4つの塗料について費用相場や特徴をまとめると、下記の表のようになります。 

塗料の種類

塗料代の相場
(1平方メートルあたり)

特徴

シリコン塗料

2,000~3,500円程度

透湿性に優れている

ウレタン塗料

1,700~2,500円程度

塗装面を選ばない

フッ素塗料

3,500~5,000円程度

耐久性が高い

アクリル塗料

1,000~1,800円程度

安価に入手できる

その他、無機塗料やラジカル塗料など、特化した機能性を持つ塗料もあります。塗装場所に合わせて選択しましょう。

工事費・人件費

外壁塗装費用の3割程度を占めるのが工事費・人件費です。一般的に塗装面積に応じて費用が増減します。 

多くの外壁塗装で工事費・人件費が発生する作業は下記のとおりです。 

【養生】
塗装をしない箇所にビニールやマスキングテープを施し、施工中の塗料で汚れないように保護します。 

【飛散防止ネット】
作業中の物品の落下を防ぐ、洗浄剤や塗料の飛散を防ぐなどの目的で設置します。 

【高圧洗浄】
長く使用した外壁には、コケやカビ、サビなどの落としにくい汚れが付着しているものです。高圧洗浄を行い丁寧に洗い流すことで、新しく施す塗料の密着度が高まり、十分な耐久性を発揮できるようになります。 

【シーリング】
シーリングは外壁の部材間に施すもので、外壁塗装時に劣化が見られれば補修が必要です。劣化が大きく進んでいなければシーリング材を足す「打ち増し」を、劣化が激しい場合は既存のシーリングをはがして一新する「打ち替え」を行います。 

【廃棄物処理】
外壁塗装にともない産業廃棄物は必ず発生するものです。養生シートや刷毛などを洗った有機溶剤、塗料缶、余った塗料、撤去した古いシーリングなど、数多くの廃棄物を処理しなければならず、費用が発生します。 

ご紹介した作業について工事費・人件費の費用相場をまとめると、下記の表のようになります。 

作業の種類

工事費・人件費の相場

養生

200~400円/平方メートル

飛散防止ネット

120~400円/平方メートル

高圧洗浄

200〜450円/平方メートル

シーリング(増し打ち)

500~1,000円/メートル

シーリング(打ち換え)

700~1,500円/メートル

廃棄物処理

10,000~30,000円/1式

外壁に加えて雨どいや軒天も塗装する場合は、上乗せして付帯工事費用がかかる点を留意しておきましょう。

足場代

費用内訳として、足場代は工事費用全体の2割程度を占めます。高さのある場所での外壁塗装において、職人が安全に作業を行うためには、足場の設置が必須です。 

足場代無料をうたっている業者もありますが、中には「諸経費」など別の品目として請求されているケースがあるため注意が必要です。安くなりそうだと安易に判断せず、必ず確認してから依頼しましょう。 

足場代の費用相場は、1平方メートルあたりの単価が700〜1,200円です。1回の外壁塗装にかかる足場代としては、1平方メートルあたりの単価に塗装面積の1.3倍をかけることで目安の費用が算出できます。 

比較的大きな費用となるため、節約したい場合は、足場の設置が必要な他の修繕を同じタイミングで行うとよいかもしれません。例えば、外壁に加えて屋根の塗装も依頼すれば、2種類の塗装を足場代1回分で行える可能性があります。塗装業者と相談して工夫しましょう。

その他の費用

その他の費用は工事費用全体の2〜3割を占めます。内容は業者や工事の種類によって異なりますが、一般的には職人の交通費や駐車場代、事務手数料などです。見積書では「その他」「諸経費」と記載されていることが多いでしょう。詳しい内訳は塗装を依頼する業者に確認してください。 

ご紹介したとおり、外装塗装にかかる費用の内訳にはさまざまな材料代や作業代が含まれています。外装塗装業者に見積書を出してもらったら、必要な項目が明記されているかを確認しましょう。 

明細が書かれておらず「外壁塗装一式」などとされている場合は、きちんと内訳を説明してもらうことが重要です。中には不要な作業代を含めてかさまししている悪質なケースもあるため注意しましょう。

外壁塗装にかかる費用相場

外壁塗装の費用は、外壁の面積や状態、塗料の種類などで異なりますが、目安としては30〜40坪の住宅で60~120万円程度です。一般的に100万円前後なら適正価格だと言えるでしょう。 

また、建物の坪数と塗料の単価がわかれば、より具体的な費用を算出できます。外壁の面積は、建物の延床面積の1.2倍程度であるため、塗装面積に塗料1平方メートルあたりの単価をかけ合わせれば、かかる塗料代がわかります。塗料代に足場代などを加えればおおまかな費用が予想できるでしょう。

外壁塗装の費用を安く抑えるコツ

工事にかかる費用は、業者への依頼方法や保険などの活用で、節約できる場合があります。外壁の傷みが酷くならないうちに工事をすることも重要です。外壁塗装の費用を安く抑えるコツをご紹介します。

相見積もりを取る

まず、相見積もりを取ることが、費用を安く抑える1つの方法です。相見積もりとは、複数の業者に同じ条件で問い合せをして、見積もりを依頼することです。外壁塗装を業者に依頼する際、初めから1つの業者に決めてしまわずに、いくつかの業者に見積書を作ってもらい、比較しましょう。 

複数業者の見積書を比較すると、実際の工事の費用相場がわかります。また、業者によって使う塗料や得意分野が異なるため、希望している作業によっては、安くできるポイントがあるかもしれません。費用を抑えて工事してくれる業者を見つけやすくなります。 

ただし、見積もりがあまりにも安すぎる業者には注意が必要です。必要な作業や安全確保を怠っている、後で高額な追加請求をされるなどの悪質なケースもあります。相見積もりをした中から、妥当な金額を提示しており、安心して任せる業者を見極めて依頼しましょう。

火災保険・助成金を活用する

活用できる火災保険や助成金・補助金があれば、費用負担を軽減できるかもしれません。確認してみましょう。 

火災保険は、積雪や雹、強風など、自然災害による外壁の傷みに適用できる場合があります。行いたい外壁塗装の工事が該当するケースかどうかは、保険証券の記載や保険会社への問い合せで確かめてください。 

助成金や補助金は、自治体などで定められている場合があります。例としては下記のようなケースです。 

【省エネにつながる住宅改修の補助として】
断熱を強化するための外壁塗装について、補助金を用意している自治体があります。外壁で断熱すれば、屋内において夏の暑さや冬の寒さを緩和でき、冷暖房器具の稼働を控えられて省エネにつながります。使用する塗料は自治体によって指定がある可能性が高いため、合わせて確認しましょう。 

【一般的な住宅リフォーム資金の助成として】
外壁に限らず、住宅リフォーム資金について助成金を設けている自治体もあります。活用できる詳しい工事内容は自治体によって異なるため、お住いの地域で確認してください。

外壁の劣化が進む前に行う

外壁が劣化してしまうと、内部構造まで腐食が広がる可能性が高まります。大規模な工事が必要になれば、工事費用も膨れ上がってしまうため、外壁塗装は劣化が進む前行うようにしましょう。10〜20年単位で定期的に行うことが望ましいとされています。

まとめ

外壁塗装には多くの作業があり、材料代や人件費がかかります。美しい外壁に仕上げ、安全に作業するために必要なものですが、もし業者の見積もり書などに不明点があれば、必ず尋ねて明確にしておきましょう。 

また、外装塗装の費用を抑えたいからといって、安易に安い業者を選んで工事を依頼するのは危険です。相場や相見積もりで、作業内容や費用が妥当であるかを確認し、安心して任せられる業者を見極めてください。

執筆年月日:2024年12月
※内容は2024年12月時点の情報です。法律や制度は改正する場合があります。

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