ベランダ・バルコニー・テラスの違いは?リフォームの注意点などを解説

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ベランダ・バルコニー・テラスの違いは?リフォームの注意点などを解説

ベランダに似た言葉に、バルコニー、テラスがあります。

「ベランダとバルコニーは、何が違うのだろう」と、疑問に思う人も多いのではないでしょうか。

リフォームでベランダの設置を検討されている方は、「バルコニー」「テラス」との違いを正しく理解しておくことが大切です。

この記事では、ベランダ・バルコニー・テラスの意味の違いを解説するとともに、ベランダ・バルコニーがどのような人に適しているか、リフォームする際の注意点についても紹介します。

ベランダ・バルコニー・テラスの意味と違い

言葉の意味

ベランダ、バルコニー、テラス、これら3つの言葉には「建物から外に張り出した屋外スペース」という共通点があります。一方で、屋根の有無、どの階に設置されているか、手すりの有無など、異なる点もあります。
言葉の意味が曖昧なまま、引越しをしたり、リフォームを発注したりした場合、「イメージと違った」と後悔する可能性もあるため注意が必要です。
ここでは、ベランダ、バルコニー、テラス、それぞれの特徴を確認してみましょう。

ベランダとは

ベランダとは、建物から外に張り出した、屋根のある屋外スペースです。

ベランダの特徴は以下の3つです。

  • 屋根がある
  • 設置階数に決まりはない
  • 手すりがある

ベランダの最大の特徴は、上部を覆う屋根があることです。屋根の素材や形態は問いません。雨や強い日差しを遮る庇(ひさし)のみの設置であってもベランダと呼ばれます。

ベランダの設置階数について、決まりはありません。ベランダは主に2階以上に設置されることが多いですが、1階に設置されている場合もあります。日本家屋の縁側も、ベランダと呼ぶことができます。
ベランダとは、ある程度の雨風をしのげるため、洗濯物を干すのに適している屋外スペースです。

バルコニーとは

バルコニーとは、建物から外に張り出した、屋根のない屋外スペースを指します。

バルコニーの特徴は以下の3つです。

  • 屋根がない
  • 2階以上にある
  • 手すりがある

バルコニーの特徴は、屋根がなく、2階以上に設置されていることです。2階以上に設置されることから、転落防止のための手すりが設置されているのも特徴といえます。
バルコニーには、さまざまな種類があります。建物内にある「インナーバルコニー」、屋上に設けられた「ルーフバルコニー」、エアコンの室外機置き場などとして利用する「サービスバルコニー」などです。
バルコニーという言葉には広義の意味がありますが、基本的には日当たりがよく、開放感がある屋外スペースをバルコニーと呼びます。

テラスとは

テラスとは、建物の1階から外へ張り出した、地面よりも1段高い屋外スペースを指します。

テラスの特徴は以下の3つです。

  • 屋根の有無は問わない
  • 1階にある
  • 手すりがない

テラスの最も大きな特徴は、1階に設置されていることです。庭とは違い、地面よりも高い位置に設置されています。一般的には、リビングなど隣接する部屋の床と同じ高さで作られるケースが多いです。
使用する素材によって「ウッドテラス」や「タイルテラス」などと呼び分けられることもあります。
テラスは、椅子やテーブルを置いて、屋内の延長として利用されることが多い屋外スペースです。

ベランダとバルコニーの違い

ベランダとバルコニーの違いは、屋根の有無と設置階数です。
屋根があればベランダ、屋根がなければバルコニーです。
どちらも2階以上に設置されることが多いものの、ベランダには設置階数の定義がありません。バルコニーは2階以上に設置されますが、ベランダは1階に設置されることもあります。マンションやアパートといった集合住宅の場合、上階のベランダが下階の屋根の役割を担う構造が一般的です。
建築基準法施行令では、ベランダという言葉の記載はなく、バルコニーと表現されています。明確な基準がないため、物件情報ではベランダでもバルコニーと表記している場合があります。物件を選んだりリフォームをしたりする際には、名称のみで判断せず、どのような構造であるかについても確認しましょう。

バルコニーとテラスの違い

バルコニーとテラスの違いは、設置階数と手すりの有無です。
2階以上の屋外スペースはバルコニー、地面よりも1段高い屋外スペースはテラスと理解して問題ないでしょう。2階以上にあるテラスには、原則として手すりまたは柵の設置が必要です。一方、1階にあるテラスに、手すりや柵の設置は必須ではありません。
テラスには屋根や庇を設置するケースも多いですが、基本的にはバルコニーもテラスも屋根がなく、開放感があります。

ベランダとバルコニーはどちらがおすすめ?

ベランダとバルコニー、どちらを選ぶべきかは、屋外スペースの利用目的によって異なります。屋根の有無や設置階数の違いなどをふまえ、「ベランダを選んだ方がいい人」と「バルコニーを選んだ方がいい人」について、それぞれを詳しく解説します。

ベランダを選んだ方がいい人

天候を気にすることなく洗濯物を干したい人には、屋根のあるベランダがおすすめです。
ベランダは屋根があるため、ある程度の雨風は避けられます。降水量や風の有無にもよりますが、雨が降っていても、洗濯物を外干しすることが可能です。急な雨が降った場合も、洗濯物が一気に濡れてしまう心配はないでしょう。
ベランダの屋根は、直射日光を遮ってくれます。そのため、室内温度の上昇を避けたい人にもベランダがおすすめです。強い日差しによって家具や書籍などが、日焼けで痛むことも防止できます。
ベランダは、天候に左右されにくい特徴があります。部屋の延長として屋外スペースを使用したい人には、バルコニーよりもベランダを選ぶとよいでしょう。

バルコニーを選んだ方がいい人

開放的な空間を好む人には、バルコニーがおすすめです。
バルコニーは、2階以上で屋根がありません。屋根のあるベランダとは違い、部屋の延長というよりも、庭のような感覚で屋外スペースを活用できます。日光浴をしたり、夜は星空を眺めたりなど、開放的な空間を楽しみたい人は、ベランダよりもバルコニーを選んだ方がよいでしょう。
バルコニーは、屋根によって日差しが遮られないため、室内までたっぷりと自然光が入ります。明るく、暖かい部屋を好む人にもバルコニーがおすすめです。
屋根のないバルコニーでも、サンシェードを取り付ければ、日陰を作ることができ、快適な環境を維持しやすくなります。

ベランダ・バルコニーをリフォームする際の注意点

ベランダとバルコニー、どちらの選択においてもリフォーム時に注意すべき点があります。ここでは、ベランダ・バルコニーをリフォームする際に、気をつけたい注意点を7つ紹介します。リフォーム前に確認しておきましょう。

デザインを住宅の全体のイメージに合わせる

ベランダ・バルコニーのデザインは、住宅の全体のイメージに合わせましょう。
屋外に設置されるベランダやバルコニーは、建物の外観に大きな影響を与えます。屋根や外壁の色と大きく異なったり、他の部屋と雰囲気が異なる素材だったりすると違和感を感じてしまいます。
リフォームをするベランダやバルコニーばかりに視点が集中してしまいがちですが、住宅全体を見ながらデザインを決めることが大切です。

プライバシー面と防犯面を意識する

ベランダやバルコニーは、屋内の感覚で活用できるため、開放的になりやすい傾向があります。しかし、建物から外に張り出した空間であるため、誰が見ているかわかりません。外からの視線にさらされないよう、プライバシーを確保する必要があります。
また、ベランダやバルコニーから空き巣や泥棒が侵入する可能性もあるため、防犯対策も必須です。
プライバシーの確保には、目隠しとなるフェンスや柵の設置が有効です。あわせて、二重鍵の設置やセキュリティシステムを導入するなど、防犯対策も取り入れましょう。

風通し・日当たりを確保する

ベランダもバルコニーにも、通常手すりが設置されています。手すりの形状にはさまざまな種類があり、風通しや日当たりにも影響を与える場合があります。
例えば、コンクリートの手すりで、ベランダやテラスを全面隙間なく囲ってしまうと、風通しが悪くなります。日差しも遮られてしまっては、せっかくの屋外スペースを有効活用できません。
ベランダやバルコニーをリフォームする際には、風通しと日当たりを確保できるよう工夫しましょう。

屋根を設置する

直射日光を避けたい場合は、屋根の設置を検討しましょう。
ただし、新たに屋根を設置するリフォームは、周辺の土地の日照環境を確保するための「斜線制限」など、建築基準法のルールに適合していることが必須です。知識のあるリフォーム業者に相談し、しっかりとした打合せを行うようにしましょう。
屋根材には多くの種類があります。UVカット仕様の屋根材、雪が滑りやすい屋根材など、目的や環境に適した屋根材を選ぶことは、ベランダやバルコニーの快適さにつながります。

用途に合わせて計画する

ベランダやバルコニーをリフォームは、屋外スペースに求める用途を明確にしたうえで、計画をたてましょう。
洗濯物を干す場所を求めるのであればベランダ、​広々とした空間で家族とのんびり過ごしたいのであればバルコニーなど、用途によって選ぶべきものが変わります。家族それぞれの希望をしっかりと聞いたうえで計画をすると、後悔のないリフォームができるでしょう。

強度や安全性を考慮する

ベランダやバルコニーを設置する場合、強度や安全性の確保は重要です。
ベランダを拡張するリフォームの場合、十分な強度を確保しなければなりません。新たな柱を建てたり、既存部分の接合部を強化したりといった対策が必要となる場合もあります。

また、小さなお子さんがいる場合は、転落事故を防ぐことも大切です。手すりの高さや柵の隙間の幅、耐久性など、安全性への考慮も必ず行いましょう。
強度や安全性は、個人で判断するのではなく、信頼できるリフォーム業者に依頼することをおすすめします。

マンションの場合は管理規約を確認する

マンションの場合は、リフォームをする前に、管理規約の確認が必須です。
管理規約には、ベランダでの喫煙についてやアンテナの設置禁止など、住民が気持ちよく暮らすためのルールが書かれています。リフォームを計画する際には、管理規約を遵守しなければなりません。
多くの世帯が建物を共有しているマンションは、共用部分と専有部分に分かれています。リフォームの場所や内容によっては、管理組合から工事の許可がおりないケースもあります。無断でリフォームを実行した場合は、大きなトラブルへと発展しかねません。
トラブルを回避するためにも、リフォームを計画する際には必ず管理規約を確認してください。

まとめ

ベランダ、バルコニー、テラスは、どれも屋外スペースであるものの、屋根の有無や設置階数などに違いがあります。
それぞれの特徴を理解しておくと、自身が理想とする屋外スペースがベランダなのか、バルコニーなのかが判断できます。
ベランダやバルコニーをリフォームする際には、住宅全体のイメージに合わせ、プライバシーの確保や防犯対策を実施することも大切です。リフォームには専門的な知識が必要となるため、理想とするイメージを家族で話し合ったうえで、実績のあるリフォーム業者に依頼するとよいでしょう。

執筆年月日:2024年9月

※内容は2024年9月時点の情報です。法律や制度は改正する場合があります。

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