インターネットの回線速度の目安は?速度計測方法や遅くなる原因と対処を解説
インターネットを快適に利用するには、安定した回線速度が必要です。動画やゲームを楽しんでいるときに、急に動きが遅くなったり、動かなくなったりすることは、誰しも経験しているのではないでしょうか。この記事では、使用状況に応じた必要な回線速度と、通信速度の測定方法、遅くなる原因と対処法についてご紹介します。
回線速度の基礎知識
まずは、インターネットの回線速度を確認していく上で、理解しておく必要がある単位と用語について確認しましょう。
回線速度の単位
回線速度は、bps(ビーピーエス)という単位で表されます。bpsはbit per second(ビット・パー・セカンド)の頭文字で、1秒間に送れるデータ量を示すものです。bpsの単位が大きいほど、回線速度は速くなります。
ファイルやストレージの容量を表すBite(バイト)はデータ容量の大きさを表す単位で、bitとは異なるため注意してください。
回線速度の上りと下りとは
回線速度には、上りと下りがあります。
上りは、インターネットにデータをアップロードするときの速度です。メール送信やSNS、ブログ、動画などの投稿時に利用します。
下りは、インターネットからデータをダウンロードするときの速度です。WebサイトやSNSの閲覧、動画視聴、画像や動画を受け取るときに使用します。
上りは送信、下りは受信するときの速度と考えると理解しやすいでしょう。
一般的なインターネット回線速度
一般的なインターネットの回線速度がどのくらいか確認してみましょう。自身の利用している回線速度と比較してみてください。
固定回線(光・CATV)
日本国内の一般的な固定回線の速度は、次のとおりです。
多くの人はWebサイトやSNSを閲覧のみで、データ受信のほうが多く発生するため、一般的には下りのほうが上りよりも高めに設定されています。
また、光回線のほうがCATVよりも速い回線速度を供給してくれます。
モバイル回線(スマートフォン、モバイルルーター、ホームルーター)
日本国内の一般的なモバイル回線の速度は、次のとおりです。
モバイル回線も、下りのほうが上りより高い速度です。
回線速度は、スマートフォン、モバイルルーター、ホームルーターの順に速くなります。
【使用目的別】快適なインターネット回線速度の目安
日常で使う場面によって、快適に使用できるインターネットの回線速度は異なります。使用目的別の快適なインターネット回線速度の目安を見てみましょう。
SNS
SNSは、閲覧のみと投稿で回線速度の目安が異なります。
閲覧のみの場合、Xなら画像や動画を見ても2~3Mbps、動画が主なTikTokでも4~5Mbpsで十分です。
投稿する場合は、投稿内容により目安が変わります。文章のみで動画をアップしないなら128Kbps~1Mbps程度で速度を気にせずに楽しめます。一方、動画をアップする場合は基本的には3Mbps程度で十分ですが、10Mbps以上ないと困ることもあるため注意してください。
※TikTokは、ByteDance Ltd.(バイトダンス エルティーディー.)またはその関連会社の商標または登録商標です。
動画の視聴
YouTubeやNetflixなどの動画の視聴は、画質で変わってきます。
通常の画質であれば、2~5Mbps程度で問題ありません。フルHDや4Kのような高画質な動画は、20~30Mbps程度必要になってきます。ただし、この速度は光回線ならしっかり出せる速さのため、高画質であっても支障なく視聴できるでしょう。
※Netflixは、Netflix, Inc.の登録商標です。
※YouTubeはGoogle LLCの商標または登録商標です。
Web会議
Web会議の目安は、上り・下りともに2~30Mbps程度です。
ビデオ使用なら、最低3~10Mbps程度はないと、映像がうまく映らない可能性があります。できる限りスムーズに会議を行うためには、余裕をもって20Mbps以上の速度のものを使用しましょう。音声だけの使用なら、あまり気にしなくて大丈夫です。
メール・チャット
メールやチャットは文章がメインのため、128Kbps~1Mbps程度で利用できます。
ただし、大きいデータのファイルを送受信する場合は、1Mbps以上あると問題が発生する可能性が少なくなります。回線速度がそれなりにあると、ファイルの授受に時間をかけずに済み、知らない間に大きいデータを受信しても安心です。
大容量ファイルのダウンロード
データ容量の大きいファイルのダウンロードには、100Mbps必要です。
ただし、ダウンロードの時間には、送信元のサーバーの通信速度も影響します。サーバーの多くは、混雑回避のために通信速度を制限しています。ダウンロード時間は、回線速度が速いほうが短縮できますが、サーバー側が遅いと長くかかると認識しておきましょう。
オンラインゲーム
気兼ねなくオンラインゲームをするためには、最低30Mbpsくらいの回線速度があると安心です。
オンラインゲームは、複数人が同時にインターネットをつなげるため、送受信データが大きくなります。
激しい動きのゲームなら、100Mbpsあるとスムーズに遊べます。
インターネット速度テストのやり方
インターネット回線の速度テストは簡単にできます。
どのくらい速度が出ているか、速度測定サイトもしくはアプリでチェックしてみましょう。
ネット速度測定サイト
ネット速度測定サイトFast.comとSpeedtest.netの速度テストのやり方をご紹介します。
Fast.com
- Fast.comのページにアクセスする。
- 自動的に通信速度の測定が始まり、測定完了後にダウンロード速度が表示される。
- 「詳細を表示」をクリックもしくはタップすれば、アップロード速度が確認できる。
Speedtest.net
- Speedtest.netのページにアクセスする。
- 表示されている「GO」のボタンをクリックもしくはタップする。
どちらも簡単に速度測定が可能です。
自身のインターネットの回線速度がどのくらいか、確認してみてください。
ネット速度測定アプリ
ネット速度測定アプリ3つの速度テストのやり方を見ていきましょう。
ドコモスピードテスト
- 測定ボタンをタップ。
- 測定モードをノーマル・ライト・ラージから選び、測定開始をタップ。
※基本はノーマルでOK
測定モードはWi-Fiのような高速通信をテストするならラージ、測定時の通信量を減らしたいならライトを選んでください。
Speedchecker Speed Test
- 「Start Test」をタップ。
- 測定場所を「室内」「室外」「車」「電車」から選ぶ。
Speedtest by Ookla
- アプリを開いて「スタート」のボタンをタップ。
ネット速度測定サイト同様、アプリも測定は簡単です。
回線速度が遅くなる原因と対処法
回線速度が遅くなる原因には、デバイス、通信機器、プロバイダがあります。
ひとつずつ確認していきましょう。
接続しているデバイスに問題がある場合
デバイスに問題がある場合は、以下の5つの原因が考えられます。
デバイスのOSがアップデートされていない
デバイスが最新のOSにアップデートされていないと、動作上の問題が起こる場合があります。OSは不具合の修正を目的としたアップデートを度々実施します。OSがアップデートされていないなら、最新版へアップデートしましょう。
デバイスを再起動する
パソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスは、使い続けると熱をもち、動作が重くなって、回線速度が速くても読み込みが遅くなります。急に動作が遅くなったと感じたら、まずはデバイスの再起動を試してみてください。
複数の使用していないアプリを起動している
同時に複数のアプリを起動していると、メモリ不足になり動作が重くなる可能性があります。アプリをたくさん起動しているなら、使用していないアプリは終了するようにしましょう。
不要なソフトを削除する
使用していないソフトやアプリが多くあれば、起動していなくてもデバイスの容量を圧迫し、動作が遅くなります。定期的に削除するようにしましょう。
ウイルス対策をする
ウイルス感染で通信速度が遅くなる場合もあります。感染していなくても、ウイルス対策を早めに行っておくほうが安心です。セキュリティソフトをインストールしておくようにしましょう。
通信機器に問題がある場合
通信機器には、以下の4つの問題が考えられます。
インターネットへ接続しているデバイスが多い
インターネットへ接続しているデバイスが多いと、通信速度が想定通り出ない場合があります。
インターネットへ接続しているデバイスの台数が、通信機器の推奨接続台数を超えていないか確認しましょう。もし超えている、もしくはそれに近い台数なら、より多く接続できる上位機種への買い替えを検討してください。
無線LANの場合、帯域ごとに接続するデバイス数を均等に分散すれば、解決することもあります。
無線LAN接続で遅くなる
無線LAN接続で遅くなる場合もあります。有線LANで接続できるデバイスなら、有線LANで接続するのがおすすめです。
通信機器の不具合
通信機器は、長期間の使用による熱やケーブルの接触不良で、通信速度が不安定になる場合があります。一度電源を切って再起動してみましょう。ONUやWi-Fiルーターは電源ボタンが付いていないことが多いため、電源を抜き差しして再起動してください。
通信機器が高速通信対応ではない
Wi-FiルーターやLANケーブルが高速通信に対応していないと、回線速度がいくら速くても速度は出ません。高速通信に対応した機器へ交換するようにしましょう。
プロバイダに問題がある場合
プロバイダに問題がある場合、以下の3つの原因が考えられます。
接続が集中する時間帯で混み合っている
接続が集中し混雑で遅くなる場合は、IPv6(IPoE)に接続方法を変更する手段があります。IPv6は、現在よく使われている通信方式IPv4の次世代版で、IPv4で不足しているオンライン回線の住所を示すIPアドレスを、IPv6ではほぼ限界なく使用可能です。新しい接続方式であるIPoEが使用できるのも、IPv6の特徴です。
従来のPPPoE方式では「ネットワーク終端装置」を経由し通信するため、混雑すると通信容量の限界で遅くなることがありました。IPoE方式は、装置を経由せず直接接続できるので、容量の限界で遅くなる心配がなく、安定して通信できる方法として有効です。混雑による遅延を避けたいなら、IPv6(IPoE)への変更を検討しましょう。
モバイル回線で接続している
モバイル回線は、固定回線よりも回線速度が遅く安定していません。モバイル回線で速度が遅いと感じるなら、固定回線に変更しましょう。
インターネット回線に問題がある
契約しているインターネット回線が、地域によっては速度が速い回線に対応していない場合があります。いろいろ対処してみても速度が改善しない場合は、速度が速い回線に対応している他社への乗り換えを検討しましょう。CATVや衛生回線など、光回線以外の固定回線を使用しているなら、光回線への変更、もしくは光回線が利用できる他社のプロバイダへ変更すると、劇的に通信速度が速くなります。
まとめ
インターネットを快適に楽しむためには、使用状況に応じて適切な上りと下りの回線速度が必要です。もし回線速度が遅いと感じるなら、デバイス、通信機器、プロバイダ、それぞれに遅くなる原因がないかチェックしてみてください。遅くなる原因を突き止めて、より快適なインターネット環境を手に入れましょう。
執筆年月日:2024年9月