引っ越し時の冷蔵庫の中身はどうする?準備や運搬方法について解説

引っ越しをする際、冷蔵庫の中身は空にしておくことが基本です。「引っ越しまでに食材を使い切るのが難しい」「冷蔵庫の中身を空にできなかったらどうすればよいのだろう」などと悩む方は多いでしょう。
この記事では、引っ越し当日に冷蔵庫の中身が残っている時の対処法や運搬のポイント、そのほか冷蔵庫の事前準備について解説します。
引っ越しまでに冷蔵庫の中身は空にしておく必要がある
引っ越し当日までに、冷蔵庫の中身は空にしておかなければなりません。なぜなら、冷蔵庫は、電源を切った状態で運搬するからです。たとえ短時間の移動でも、冷蔵庫内の温度は高くなり、中身が腐敗する恐れがあります。
冷蔵庫の中身がこぼれた場合、ほかの荷物や新居を汚すリスクも高まります。清掃が必要となれば、スケジュールに遅れが生じ、引っ越し全体にも影響を与えかねません。
また、「霜取り」や「水抜き」といった事前準備のためにも、冷蔵庫の中身は引っ越しまでに空にしておくことが望ましいのです。
冷蔵庫の中身が残っているときの対処法
引っ越し当日までに、冷蔵庫の中身を空にできないことがあるかもしれません。ここでは、冷蔵庫の中身が残っているときの対処法を解説します。
クーラーボックスに入れて運ぶ
冷蔵庫の中身が残っているときの対処法として、クーラーボックスに入れて運ぶ方法があります。クーラーボックスは、氷や保冷剤を一緒に使用することで低温を保ち、食材の品質を守りながら運搬できます。
ただし、クーラーボックスは、一時的な保冷に適したアイテムです。ボックス内の温度を、長時間一定に保つことは困難です。長時間の運搬や夏場には、中身の品質が低下することもあるため、注意してください。
発泡スチロールに入れて運ぶ
クーラーボックスがない場合、発泡スチロール箱に入れて運ぶ方法もおすすめです。発泡スチロールは、断熱性に優れた素材です。クーラーボックスと同様、氷や保冷剤を一緒に使用することで低温を保つことができます。
発泡スチロールの保冷力は、クーラーボックスほど高くありません。厚みがない発泡スチロールの場合は、運搬中に割れる可能性もあるため、扱いには注意が必要です。
クール便を利用する
冷蔵庫に残った中身を自分で運べない場合は、クール便の利用を検討しましょう。クール便は、冷蔵または冷凍温度を保ったまま、荷物を配送する宅配サービスです。遠距離や暑い夏場でも、食材の品質を保ちながら運搬できます。
クール便は、通常の配送より割高です。距離や荷物の量によっては、高額になることもあります。費用を抑えたい場合は、どうしても持っていきたい食材のみをクール便で運びましょう。
冷蔵庫の中身を運搬する際のポイント
冷蔵庫の中身を運搬したにもかかわらず、食材が傷んでしまっては廃棄せざるを得ません。食材を無駄にすることがないよう、冷蔵庫の中身を運搬するポイントについて確認しておきましょう。
事前に保冷剤を準備する
冷蔵庫の中身を運搬する際には、事前に保冷剤の準備が必要です。クーラーボックスや発泡スチロールには、食材を冷やす機能がありません。凍らせた保冷剤を使用することで、保冷効果を発揮します。
保冷剤の凍結時間は、タイプによって異なります。ソフトタイプは10時間前後、ハードタイプは1日前後かかることもあるため、引っ越し日に間に合うよう冷凍庫に入れておきましょう。
保冷剤がない場合、凍らせたペットボトルなどでも代用可能です。ただし、通常のペットボトルは、凍結により中味が膨張し、容器が破裂する場合があります。冷凍専用のペットボトルを使用すると安全です。
水分を含むものはラップ・フリーザーバッグなどを活用
水分を含むものは、ラップやフリーザーバッグなどで密閉してから運搬しましょう。水分が多いものは、細菌が繁殖しやすく、傷みやすい特徴があります。ラップやフリーザーバッグなどで密閉し、酸素を遮断することで、品質の低下を防止できます。密閉することは、水漏れや乾燥、匂い移り防止などにも有効です。
ボックスに食材を詰めすぎない
クーラーボックスや発泡スチロールなどのボックスは、食材を詰め込みすぎると、冷気が均等に循環しません。冷気が届きにくい部分は温度が上昇し、食材が傷みやすくなります。
1つのボックスに詰めきれない場合は、複数のボックスを用意したり、クール便を併用したりなどを検討しましょう。
できるだけ時間をかけずに運搬する
冷蔵庫の中身を運搬する際は、できるだけ時間をかけずに運搬することも大切です。食材は、時間が経てば経つほど傷みます。できるだけ時間をかけずに運べるよう、ルートや所要時間を考慮してください。
運送時間がかかる場合は、適切に梱包したり、途中で保冷剤を交換したりなど、食材の鮮度を保つ工夫をしましょう。
冷蔵庫内の調味料を運ぶ方法
調味料は液体タイプと粉末タイプによって、それぞれ特性が異なる特性があります。運ぶ際のポイントや注意点も異なるため、事前に確認しておきましょう。
液体タイプ
液体タイプの調味料は、中身がこぼれないよう、梱包してから運搬します。ふたをしっかりと閉めたうえで、ラップを巻き、テープや輪ゴムなどで固定すると密閉度が高まります。瓶入りの調味料は、割れないように緩衝材や新聞紙などを使って保護してください。
液体タイプの調味料をダンボールに入れる際は、必ず容器のふたが上になるように立てて入れます。運搬中に調味料が動いたり、容器同士がぶつかったりすることもあるため、隙間には新聞紙やタオルを詰めましょう。万が一、中身が漏れたとしても、新聞紙やタオルが吸収してくれるため、ほかの荷物への被害は最小限に抑えられます。
ダンボールの外側には、中身がわかるよう「調味料」と書き、「天地無用」「漏れ注意」などと書き添えておくと、運搬時に注意してもらいやすくなります。
粉末タイプ
粉末タイプの調味料は、液体タイプの調味料に比べてこぼれるリスクは低いです。しかし、こぼれると掃除に手間がかかるため、面倒でも梱包して運びましょう。
袋に入った調味料は、しっかりと口を閉じます。可能であれば、タッパーなどの密閉容器やビニール袋などに入れてからダンボールに入れると安心です。容器に入った調味料は、液状タイプの調味料と同様に、ふたをしっかりと閉めたうえで固定しましょう。
粉末タイプの調味料は、湿気を吸収すると固まります。しっかりと密閉したうえで、液体タイプの調味料とは別のダンボールに梱包することをおすすめします。
引っ越し前に行っておくべき冷蔵庫の準備
冷蔵庫の中身を空にしたら、運搬に向けて準備をします。冷蔵庫は電源を切るだけでは不十分です。ここでは、引っ越し前に行っておくべき冷蔵庫の準備について確認しておきましょう。
引っ越し時の冷蔵庫の電源を切るタイミングについては、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
引っ越し時の冷蔵庫の電源を切るタイミングは?やり方や注意点を紹介
霜取り
冷蔵庫は、電源を切った後に霜取りを行います。冷蔵庫の扉を開けておき、自然に霜が溶けるのを待ちましょう。季節や設置環境によって異なりますが、霜が完全に溶けるには半日以上の時間を要します。
自然解凍することが望ましいですが、時間がない場合は温めたタオルなどで拭き取る方法もあります。アイスピックやドライバーなどの鋭利な道具を使って霜を取り除こうとすると、冷蔵庫内を傷つける恐れがあるため注意してください。
近年は、自動霜取り機能を搭載した冷蔵庫も販売されています。霜取りの手間を省ける場合もあるため、事前に取扱説明書などで確認してください。
水抜き
水抜きとは、冷蔵庫の蒸発皿に溜まった水を排出する作業のことです。水抜きをしていないと、運搬中に水が漏れる可能性があります。ほかの荷物や新居を濡らすことがないよう、水抜きは必ず行いましょう。
蒸発皿の位置は、冷蔵庫の機種によって異なります。冷蔵庫の背面や下部に設置されていることが多いものの、必ず取扱説明書で確認してください。蒸発皿が背面にあり、取り出しにくい場合は、冷蔵庫を少し動かす必要があります。床を傷つけたり転倒したりしないよう、慎重に作業をしてください。
冷蔵庫の掃除
霜取りと水抜きが終わったら、冷蔵庫の掃除を行いましょう。取り外せるパーツは、水洗いします。汚れがひどい場合は、食器用洗剤(中性)を薄めたもので洗います。パーツを傷つけないよう、柔らかいスポンジや布巾などを使用してください。水洗い後は、乾いた布で水気をよく拭き取り、乾燥させます。
パーツを取り出した冷蔵庫内は、ぬるま湯または食器用洗剤(中性)を薄めたもので拭き掃除をしましょう。冷蔵庫の内部に水が入ると故障の原因になるため、布巾はしっかりと絞ってから使用します。水拭き後は、必ず乾拭きで仕上げましょう。洗剤を使用した場合、洗剤が残らないよう、水拭きをしてから乾拭きをしてください。
引っ越し前に冷蔵庫の掃除を行っておくと、冷蔵庫を清潔に保つことができ、新居でも気持ちよく使用を再開できます。
冷蔵庫の電源を切るタイミング
冷蔵庫の電源を切るタイミングは、運搬の15〜24時間前が適切とされています。これは、引っ越しまでに冷蔵庫の中身を空にし、霜取りや水抜きなどの準備を行うためです。霜が厚くなっている場合、霜取りに時間がかかります。状況に応じて、電源を切るタイミングを見極めてください。
電源を切り忘れた場合、冷蔵庫に残った水が、運搬中に漏れ出すリスクが高まります。水が冷蔵庫内部の電気系統に入り込んだ場合、冷蔵庫が正常に作動しない可能性もあります。
新居で冷蔵庫が使えなければ、せっかく運んだ冷蔵庫の中身も処分しなければなりません。修理費や買い替え費など、予想外の出費を避けるためにも、冷蔵庫の電源は引っ越し前の適切なタイミングで切ることが重要です。
まとめ
冷蔵庫の中身は、なるべく引っ越し前日までに使い切るのが理想です。どうしても使い切れなかった場合も、冷蔵庫は電源を切る必要があるため、食材を入れたままでは運搬できません。クーラーボックスや発泡スチロールなどを利用し、適切な温度を保った状態で運搬してください。
冷蔵庫に中身が入った状態では、運搬前に行うべき霜取りや水抜きができません。準備を怠ると、ほかの荷物が濡れたり、冷蔵庫が故障したりする恐れもあります。
引っ越し当日までに冷蔵庫の中身を空にできるよう、計画的に準備を進めましょう。
執筆年月日:2025年1月