鍵の番号だけで合鍵の複製はできる?悪用防止の対策や管理方法を紹介

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鍵の番号だけで合鍵の複製はできる?悪用防止の対策や管理方法を紹介

合鍵の作成が必要になった経験はありませんか。多くの人は合鍵の作成には元となる鍵が必要だと考えるでしょう。では、元の鍵を紛失したら、合鍵は作成できないのでしょうか。

この記事では合鍵の作成方法と鍵番号についてくわしく解説します。また、鍵番号を悪用されないための方法も紹介しています。安全に鍵を使用するための参考にしてください。

合鍵は鍵番号があれば作成可能

合鍵の作成方法として広く知られているのが、鍵本体を鍵の専門店に持ち込み、合鍵の作成を依頼することです。この方法で簡単に合鍵の作成が可能です。しかし、鍵本体を紛失した場合は、鍵を持ち込む方法では合鍵を作成できません。

実は元の鍵を紛失した場合でも、合鍵を作る方法が存在します。純正キーには通常7桁以上の鍵番号が刻印されており、この鍵番号を使い、鍵屋さんで合鍵の作成ができます。

昔の鍵は数千通り程度の組み合わせしかなく、異なる家の鍵が自宅の鍵と重複するケースがありました。また、鍵の複製も容易だったため、悪用される事例が多発していました。このような背景を受け、近年では非常に複雑な鍵番号を使用し、防犯対策が強化されています。

そもそも鍵番号とは?

鍵番号とは何かを知らない人も多いのではないでしょうか。鍵番号はメーカーが鍵の設計図を管理するためのものです。この番号をもとに鍵の形状や仕様を特定するため、鍵の複製の際にも役立ちます。

鍵番号は通常、鍵の持ち手の部分に刻印されており、数字やアルファベットで構成されています。鍵番号は合鍵の作成時に便利な一方で、第三者に知れ渡ると悪用される恐れがあります。人目に付く場所に鍵を置いたり、知人に貸したりすることは避けましょう。

また、近年はSNSの普及により、無意識にプライバシーに関わることをネット上で共有してしまっている可能性があります。誰の鍵であっても、写真に写さないよう配慮するなど、普段から鍵の管理には十分に注意しましょう。

合鍵と純正キーの違い

合鍵はスペアキーとも呼ばれ、純正キーを元に複製された鍵です。メーカー純正品ではなく、鍵の形状をコピーして作られたもので、元の鍵を持っていれば、誰でも作成できます。

純正キーと比べると若干精度が劣るため、場合によってはスムーズに動作しない可能性があります。そのため合鍵から合鍵を作成すると精度がさらに低下し、鍵の操作時に鍵本体やシリンダー内部を破損させる恐れがあるため注意が必要です。

その他の違いとして、鍵と純正キーは使用している素材が異なります。鍵屋で一般的に使われている素材は黄銅で、強度が純正キーに比べて劣ります。一般的な純正キーに使われている素材は「羊白」と呼ばれる合金で、強度や耐久性に優れている点が特徴です。

鍵番号の悪用を防止する方法

現在は防犯意識の高まりから、非常に複雑な鍵番号を使用するようになりました。また、鍵の組み合わせパターン数も数億通り以上あり、簡単に複製できないことから、メーカーでしか合鍵を作れないこともあります。

しかし、油断は禁物です。ここでは、鍵の悪用を防止する方法や鍵の適切な管理方法を紹介します。

スペアキーを使用する

スペアキーにはメーカー名や鍵番号が刻印されておらず、紛失した場合でも特定されにくいといったメリットがあります。純正キーは自宅で保管し、普段はスペアキーを使用するのが適切な管理方法といえます。紛失時に第三者に鍵を拾われても、鍵番号を見られることがなく、万が一の紛失や盗難に備えられるためです。

子どもに鍵を持たせる場合も、スペアキーを渡すと、純正キーの紛失リスクを減らすことができます。鍵を紛失した場合のリスクを家族で話し合っておくことも重要です。ただし、賃貸物件の場合は自己判断のスペアキー作成を禁止していることがあるため、スペアキーが必要な場合は、管理会社や大家さんに確認しましょう。

登録制の鍵を使用する

鍵の購入時に、メーカーで所有者登録を行うと、鍵の情報及び個人情報が登録され、鍵の不正利用の防止ができます。これを「登録制シリンダー」と呼び、個人情報とパスワードを登録することで、第三者が鍵番号だけで合鍵を作ることができなくなります。

合鍵の作成には「鍵番号」の他に、「本人確認書類」と「元となる鍵の作成時に設定したパスワード」などが必要です。

「登録制シリンダー」は、鍵番号の悪用を防ぐために有効な手段ですが、鍵の複製はメーカー以外に依頼することができないため、注意が必要です。作成には1〜2週間程かかるため、いくつかスペアキーを用意しておくと安心です。また、新たに登録制の鍵を導入したい場合も鍵屋では難しいため、メーカーに依頼しましょう。

キーレス錠を使用する

キーレス錠は、鍵を使わなくても解錠できるシステムです。物理的に鍵を持ち歩く必要がないため、鍵を紛失するリスクを防ぐことができます。キーレス錠は暗証番号、指紋認証、スマートフォンなどを利用して解錠します。

キーレス錠の導入は、鍵を管理する手間や紛失のリスクを減らせる点がメリットです。鍵番号を使って不正に合鍵を作られる心配もなく、鍵穴がないためピッキングのリスクも避けられます。また、人数分の合鍵を作成する必要もありません。暗証番号の共有をするだけで済むため、鍵の管理がより簡便になります。

導入費用は一般的な鍵に比べると高額になる傾向ですが、セキュリティ面ではその投資に見合った価値があるでしょう。ただし、暗証番号が外部に漏れないよう管理しましょう。

キーカバーを装着する

鍵を裸のままで持つと、鍵番号を盗み見られる可能性があります。鍵番号を人から見られることを防ぐために、キーカバーを装着して鍵番号を隠すのもおすすめの方法です。純正キーを日常的に持ち歩いている人は、キーカバーで鍵番号を隠すと、安心して鍵を持ち歩けるでしょう。

キーカバーは通常、鍵の持ち手部分に装着します。鍵の形状を確認し、キーカバーで鍵番号がきちんと隠れるかを確認して購入すると安心です。番号を隠す用途以外にも、鍵をダメージから守る役割もあるため、簡単かつ適切な管理方法といえます。防犯以外のメリットも大きく、便利で実用的なアイテムです。

鍵番号の悪用事例

鍵番号を悪用された場合、落とし主はどのような被害に遭うのでしょうか。また、犯人はどのような手口を使うのでしょうか。ここでは、鍵番号の悪用事例を紹介します。

これは2023年に実際に起こった事件です。犯人はマンションの住民である女子大生の部屋を訪ね、鍵番号を聞き出しました。手口は巧妙で、マンションの管理会社の社員になりすまし、「鍵の交換をするため」と嘘をついて女子大生から鍵番号を聞き出したのです。

犯人は鍵番号から合鍵を作成し、マンションの共有部分に侵入した疑いで逮捕されました。その後、犯人は同様の手口で別の女性の鍵番号も聞き出していたことがわかりました。

また、この事件の他にも、鍵番号から合鍵を作成し、女性宅に侵入、室内に小型カメラを取り付けた疑いで逮捕された犯人の事例もあります。犯人は「インターネットから合鍵作成の情報を得た」と供述していることから、このように犯罪に関わる情報がインターネット上で得られることがわかります。

合鍵を作成して建物内に侵入することは、犯人にとって手軽でリスクの低い方法です。万が一鍵を失くした場合は、「合鍵があるから大丈夫」と容易に考えず、危機感を持って対策することが非常に重要です。

参考:読売新聞オンライン

鍵の防犯対策は鍵の専門業者にも依頼が可能

鍵の防犯対策は自分で行う以外にも、鍵の専門業者への依頼が可能です。鍵に特化した専門業者では、以下のような防犯対策を提供しています。

【防犯性の高い鍵への交換】
ピッキングに強いディンプルシリンダーに交換する作業ができます。

【補助錠の取り付け】
1ドア2ロックと呼ばれる補助錠の設置は、1つのドアに2つ鍵を設置して防犯性を高める方法です。開錠に時間がかかるため、防犯性の向上が期待できます。

【電子錠・スマートロックの導入】
スマートロックの導入も鍵屋で対応が可能です。自分で取り付けることもできますが、確実に動作させたい場合はプロに任せると安心です。

【セキュリティシステムの設置】
戸建ての方におすすめなのが、セキュリティシステムの設置です。玄関にセンサーライトを付けたり、防犯カメラを付けたりすることで、侵入者への威嚇効果を高めます。

サービス内容についてくわしく知りたい方は、各業者に問い合せてみてください。

鍵交換の費用相場

鍵屋に鍵の交換を依頼したいけれど、費用相場がわからないと不安に感じる方も多いでしょう。ここでは鍵の交換費用を種類別に紹介します。鍵の交換を検討されている方は以下の表を参考にしてください。

鍵の種類

鍵の交換費用

ディスクキー

15,000~25,000円

ディンプルキー

27,500~38,500円

高グレードディンプルキー

40,000~60,000円

カードキー

50,000~100,000円

暗証番号キー

50,000~10,0000円

生体認証キー(指紋認証キー)

88,000~220,000円

鍵の交換費用の他に、出張費や時間外料金が発生する場合があります。また、適正な費用が知りたい場合は複数の業者に相見積もりを取ることをおすすめします。見積もり依頼をする際は、サービス内容や対応時間、作業の詳細についてもしっかりと確認しておきましょう。インターネットのクチコミを参考にしても良いでしょう。

鍵の交換は自宅のセキュリティに直結する作業です。そのため、依頼をする際は、信頼できる業者を選ぶことが重要なポイントです。

まとめ

普段、何気なく持ち歩いている自宅の鍵ですが、それが純正キーか合鍵かを意識したことがある方は少ないかもしれません。今一度、鍵を確認し、鍵番号が見える状態ではないかをチェックしてみましょう。

鍵について不安なことがある場合は専門業者に相談すると、プロフェッショナルの視点で解決策を提案してくれます。鍵の新しい情報やリスクを知り、安心で安全な日常生活を送りましょう。

執筆年月日:2024年12月

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