玄関の鍵が回らないときの対処法

家の鍵が突然回らない状況になると、焦ってしまう人が多くいます。ここでは、鍵の不具合が発生した時に、自分で対処できる方法を紹介します。

鍵穴の汚れの掃除

鍵が回らない原因のひとつは鍵穴の汚れです。鍵穴には空気中を舞う埃やチリが蓄積しています。鍵穴の汚れは外側からはわかりにくいため、汚れに気が付かないことも多いでしょう。一見、掃除方法が難しいように見えますが、エアダスターや掃除機があれば内部の汚れを吸い取ったり、吹き飛ばしたりすることができます。

掃除機を使用する場合は、掃除機のノズルを鍵穴に直接当てて吸い込みます。エアダスターを使用する場合は、ノズルの先を鍵穴に差し込み、空気を噴射しましょう。その時に細かいゴミが飛び散ることがあるため、メガネやマスクを装着しておくと、粉塵を吸い込まず安心です。

鍵穴専用の潤滑油を使用する

鍵と鍵穴の滑りが悪いことにより、鍵が回らない不具合が起きている可能性があります。鍵穴内の滑りを良くするためには、潤滑油の使用が有効です。専用の潤滑油以外の油を使用すると、さらなるトラブルに発展する可能性があるため、必ず鍵穴専用の潤滑油を使用しましょう。

また、潤滑油を使用する際のポイントは、最初に鍵や鍵穴の掃除を行っておくことです。鍵穴にホコリやゴミが溜まった状態で潤滑油を注入しても正常に動作しない可能性があります。潤滑油を注入した後に、鍵を何度か抜き差しして鍵穴に油を馴染ませたら完了です。

鉛筆で鍵をなぞる

鉛筆の芯には金属の滑りを良くする成分である黒鉛が含まれています。そのため、鍵を鉛筆でなぞると鍵の滑りが良くなることがあります。黒鉛の成分が多いほど潤滑油としての役割を強く果たすため、Bや2Bなどの濃い鉛筆を使用するのがおすすめです。

鉛筆で鍵をなぞる場合の手順は以下の通りです。

1. 鍵の汚れを柔らかい布などで優しく拭き取る
2. 鍵の窪み、溝、切り込みに沿って鉛筆を動かす
3. 鍵を鍵穴に何度が抜き差しして馴染ませる
4. 鍵がスムーズに抜き差しできるようになったら、鍵に付いている黒鉛を優しく拭き取る

なお、鍵を拭くときにおすすめなのが、ファイバークロスです。もし、ファイバークロスが手元にない場合はハンカチや歯ブラシでも問題ありません。ただし、汚れの付着を防ぐため、必ず乾いた状態で使用してください。

スペアキーを使ってみる

スペアキーが手元にある場合は、そちらを使って試してみましょう。スペアキーで鍵が回る場合は、普段使っているメインの鍵が劣化や摩耗により使えなくなっていることがわかります。

一般的に鍵は同じものを長年使用すると、金属疲労が生じます。鍵を使っているうちに変形や細かい傷ができると、鍵穴が誤認識し、その結果、鍵が回らなくなることがあります。

また、純正の鍵ではなく、スペアキーから複製した鍵を使っている場合は、鍵の精度に差が生じるため、回らなくなることがあります。スペアキーを作成する場合は、必ず純正の鍵を元にしましょう。

ネジの締め直し

サムターンのネジが緩んでいると、外側から鍵を操作しても回らないことがあります。サムターンはドアの内側にある施錠・解錠をするためのツマミ部分で、鍵穴と連動しています。まずはサムターンを固定しているネジを締め直し、動作確認をしてみましょう。

ネジを締め直す手順は以下の通りです。

1. サムターンを固定しているネジの場所を確認する
2. ドライバーを使用し、ネジを緩めてツマミを取り外す
3. 台座に固定されているネジをしっかりと締める
4. 取り外したツマミを正しく戻し、ネジを締める
5. 動作を確認する

サムターンの種類によっては作業方法が異なります。メーカーを調べて、作業方法を確認した上で実施してください。

ストライクの位置を調整

鍵を回すと飛び出す仕組みになっているデッドボルト（かんぬき）と、それを受けるストライクの位置がずれていると、うまく動作せず鍵が回らなくなることがあります。ストライクを正しい位置に戻すことで、鍵が回るようになるかもしれません。

ストライクの位置を調整する手順は以下の通りです。

1. ドライバーを用意し、ストライクを固定している金属プレートのネジを緩める
2. デッドボルトを受けられる位置に調整する
3. ネジを締めて固定する
4. 鍵が回るか確認する

自分で作業することに不安のある方は、無理をせず専門業者に依頼しましょう。

凍結している場合はカイロで温める

冬の寒い時期には、温度の低下により鍵穴が凍結することがあります。凍結が原因で、鍵が差さらなかったり、回らなくなったりすることが考えられます。凍結している様子が見られた場合は鍵穴を温めてみましょう。

ただし、熱湯や水をかけて解かすことは故障の原因になるため絶対に避けましょう。鍵は濡れた状態では使用できません。カイロやドライヤーの風を鍵穴にあてて解凍させることが推奨されます。ドアの外側から鍵を操作できない場合は、カイロやドライヤーの準備をすることが難しいかもしれません。その場合は無理に鍵を開けようとせず、専門業者に依頼することを検討しましょう。

玄関の鍵が回らないときにやってはいけないNG行為

鍵が回らない時に、焦りから間違った方法で対処してしまうことがあるかもしれません。鍵は精密な構造でできているため、不具合が発生した場合は適切な処置を行う必要があります。

どのような行為を避けるべきかを理解しておくと、さらなる故障のリスクを避けることができます。ぜひ参考にしてください。

無理に鍵を回そうとする

鍵が何らかの理由で回らない場合、強引に鍵を回すことは避けましょう。力任せに鍵を回すことにより、鍵の変形や、鍵穴の中で子鍵が折れてしまうなど、自分で対処できない状況に陥る可能性が出てきます。シリンダーが損傷すれば、丸ごと交換する必要があるかもしれません。

事態の悪化を避けるためにも、無理に鍵を回さないようにしましょう。普段通りに鍵が刺さらない、回らない場合は、鍵周辺に何らかの不具合が起きている可能性があります。原因を突き止めて、正しい対処法を調べましょう。

針金などでピッキングしようとする

針金やヘアピンなどの、細いものを使ってピッキングを試みるのは避けるべき行為です。鍵以外のものを鍵穴に差し込むと、内部で折れたり、傷つけたりするリスクがあるからです。鍵の内部が傷ついた場合はシリンダーの交換が必要になることもあります。また、鍵穴のゴミを取り除くために、針金などを利用して掃除をするのも避けるべき行為です。

基本的にピッキングを行うには専用の道具や知識や技術が必要です。もし、鍵開けなどの業務を行う人以外がピッキング専用の道具を所持している場合は罪に問われるため、十分に注意してください。もし鍵が回らなくても、自分でピッキングを試みることは避けましょう。

鍵穴専用ではない潤滑油の使用

食用油や、液状・油状の潤滑油は、鍵穴に適していないため、使用を避けましょう。これらを使用すると、鍵穴内部でゴミやホコリと一緒に固まってしまい、鍵が刺さらない、抜けなくなるなどのトラブルを引き起こします。

鍵穴専用の潤滑油はサラサラのパウダー状で、一般的な潤滑油と異なり、速乾性があるのが特徴です。鍵穴の滑りを良くするためには、鍵穴専用の潤滑油を使用しましょう。鍵穴専用潤滑油は、インターネットやホームセンターで購入できます。

自分で鍵（シリンダー）を交換する

鍵に不具合が出た際に、シリンダーごと交換するのはひとつの手段ですが、自分での交換はおすすめできません。専門の知識や技術が必要なため、自分で行うと取り付けが甘くなる可能性があるからです。取り付けが不完全だと、外部からの不正開錠など、防犯上のリスクが生じます。

鍵は防犯において重要な役割を果たしています。シリンダーの交換は、正しく交換作業を行ってくれる専門業者に依頼しましょう。

自分で対処できない場合は鍵開け専門業者への依頼がおすすめ

鍵に不具合が生じ、自分で対処できない場合は、専門業者への依頼がおすすめです。近年、インターネット上には鍵に関するさまざまな情報が溢れていますが、原因や正しい対処法を見極めることは難しいです。

知識や道具を持っている専門業者に依頼すれば、早期の解決をサポートしてくれるでしょう。

鍵開け専門業者に依頼した場合の費用相場

鍵開け専門業者に依頼した場合、気になるのはその費用です。ここでは鍵交換にかかる費用相場を紹介します。ぜひ参考にしてください。

まとめ

鍵が回らなくなった時は、焦って無理にこじ開けようとせず、適切な対処法をとることが大切です。鍵の破損や故障箇所が増えることにより、結果的に余分な費用がかかる可能性があります。

この記事で紹介した対処方法を試してみても鍵が回らない場合は、専門業者に相談してみましょう。急な鍵のトラブルは日常生活に支障が出ます。予期せぬトラブルを避けるためにも、普段から鍵や鍵穴の清掃、メンテナンスを行っておくと安心です。

執筆年月日：2024年12月
※内容は2024年12月時点の情報です。法律や制度は改正する場合があります。