スマートキー付き玄関が危険と言われるのはなぜ?メリット・デメリットや対策を解説

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スマートキー付き玄関が危険と言われるのはなぜ?メリット・デメリットや対策を解説

スマートキーを採用する玄関ドアは、近年普及が進んでいます。鍵を持たずにドアの開け閉めができる利便性や、防犯性を高める設計が注目されています。しかし、電池切れや停電時の対応、暗証番号の管理といった課題もあります。

この記事では、スマートキーの種類や仕組み、メリット・デメリットを詳しく解説し、安全かつ快適に利用するためのポイントをご紹介します。

※スマートキーはトヨタ自動車株式会社の商標です。

玄関ドアのスマートキーの危険性に関するよくある疑問

玄関ドアに設置されるスマートキーは、電気を利用して施錠・解錠を行うシステムで、スマートロックや電子キーなど、さまざまな名称で呼ばれています。主なタイプには、リモコンキー、カードキー、タグキー、スマートフォンアプリ、暗証番号(テンキー)、生体認証(指紋や顔認証)があります。それぞれ操作方法や特長が異なり、利便性が高い反面、特有のリスクも存在します。

例えば、リレーアタックによる不正解錠や、電池切れで家に入れなくなるといった事例が挙げられます。ここでは、スマートキーの危険性に関する具体的な問題を7つのポイントに分けてご紹介します。安全に活用するための知識を深めていきましょう。

スマートキーのリレーアタック

リレーアタックとは、スマートキーやドアから発せられる微弱な電波を特殊な機器で増幅させ、鍵が近くにあると誤認させて解錠する不正行為のことです。この手口は車両盗難で頻繁に用いられており、玄関ドアのスマートキーでも理論上は可能とされています。

ただし、玄関用スマートキーは解錠時のみ電波を発するタイプが多く、常に電波を出している車のスマートキーと比べてリスクが低いのが実情です。また、電波の範囲が限られているため、侵入を試みる空き巣が玄関付近で長時間待機する必要があり、現実的なリスクとしては極めて低いと言えます。

今後、技術が進歩することでリレーアタックが発生する可能性も考えられるため、スマートキーの特性を理解しつつ防犯意識を高めましょう。

スマートフォンのアプリの使用によるハッキング

スマートフォンアプリで施錠・解錠を行うスマートキーは便利ですが、インターネット経由で操作するため、ハッキングの懸念があります。特に、Bluetooth信号の送受信やクラウド上での情報管理がリスクとなる可能性があります。しかし、大手メーカーのスマートキーはこれらのリスクに対応するセキュリティ対策がしっかりと施されています。

信号の受信範囲は約3mに限られており、外部から不正にアクセスするのは非常に困難です。また、解錠時に使用される信号は毎回異なるため、盗まれた信号を再利用することはできません。このように、信号のセキュリティは高く、ハッキングによるリスクは最小限に抑えられています。

スマートフォンのバッテリー切れによる閉め出し

スマートフォンをスマートキーとして使用する場合、バッテリー切れが起こると解錠ができなくなります。特に、専用アプリの使用がBluetoothの起動時間を長くするため、バッテリー消費が早くなる可能性があります。そのため、帰宅時にスマートフォンのバッテリーが切れていると、玄関ドアを開けることができません。

ただし、スマートキーにはカードキーやタグキー、リモコンなど、他の鍵アイテムも登録可能です。万が一、スマートフォンのバッテリーが切れてしまった場合でも、他の手段で解錠できるよう、複数のキーを持ち歩くことをおすすめします。

リモコンの電池切れや停電による閉め出し

スマートキーに使用されるリモコンキーは、電池切れや停電により解錠ができなくなる可能性があります。リモコンキーの電池残量が減少すると、事前に通知を受けることができるものの、通知を放置したままだと鍵を開けることができなくなります。定期的に電池の残量をチェックし、交換を忘れないようにしましょう。

また、停電時には、AC100Vタイプの電気式スマートキーが動作しなくなります。しかし、リモコンキーやスマートロックには非常用の手動キーが内蔵されており、電池切れや停電時にはこの手動キーを使って解錠できます。ただし、手動キーは防犯のため、外部からは見えにくくなっていることが多いので、事前にその場所や使い方を確認しておくと安心です。

リモコンキー・カードキー・タグキーの紛失による悪用

リモコンキーやカードキー、タグキーを紛失するとドアの開け閉めができなくなるのではと心配になるかもしれませんが、大手メーカーのスマートキーはそのリスクを軽減するための対策が充実しています。紛失したキーは、専用アプリを使って登録を無効にしたり、新しいキーを再登録したりすることができます。これにより、不正に施錠・解錠される心配はなくなるでしょう。

加えて、リモコンキーやタグキーには手動キーが内蔵されているため、紛失した場合でも手動で玄関ドアを開けることが可能です。

そのため、紛失した際に備えて手動キーを利用する方法を事前に確認しておくことが大切です。また、予備のキーを準備しておけば、より安心できるでしょう。

カードの磁気不良や破損による閉め出し

カードキーは便利である一方、磁気不良や破損によって使用できなくなるリスクが伴います。主な原因として、磁気を持つ物との接触、ICチップの経年劣化、高温環境や水濡れなどの影響が挙げられます。このようなトラブルが発生した場合、カードキーの修理または交換が必要です。

こうしたリスクに備え、多くの大手メーカーでは、カードキーの代替としてタグキーの採用や、手動キーを内蔵する設計が主流となっています。これにより、万が一カードキーが使えなくなった場合でも、手動キーでドアを解錠できるため、閉め出しの不安は軽減できるでしょう。

さらに、磁気不良や破損を予防するためには、カードキーを適切に保管することも大切です。特に磁気を持つ物や高温多湿な環境を避ければ、カードキーの寿命を延ばすことができるでしょう。

暗証番号式スマートキーで番号が盗まれてしまう危険性

暗証番号式スマートキーは、手軽に導入できる便利なアイテムですが、暗証番号の盗み見やボタンに残る指紋から番号が分かるリスクも抱えています。このようなリスクを軽減するためには、周囲に人がいないことを確認してから番号を押すボタンの指跡を定期的に拭くなどの対策が役立ちます。

さらに、万が一暗証番号を忘れてしまうと閉め出しの可能性も考えられるため、家族や身近な人と番号を共有しておくと安心です。また、不正利用を防ぐためには番号を定期的に変更することも有効です。暗証番号式スマートキーは価格が手頃で設置も簡単ですが、このような特徴を理解して、導入を検討しましょう。

※Bluetoothは、Bluetooth SIG, Inc.の商標または登録商標です。

スマートキー付きの玄関のメリット

スマートキー付きの玄関には、日常生活をより快適にし、セキュリティを強化する多くのメリットがあります。これらのメリットをまとめました。

施解錠が手軽でスムーズ

スマートキーを使用すれば、リモコンキーやカードキー、スマートフォンアプリでドアを開閉できるため、荷物を持っている時や暗い場所でもスムーズに操作できます。手を使わずに鍵を開け閉めできるため、帰宅時や外出時の負担が軽減されます。特に、荷物を持っているときや子どもを抱っこしているときでも、片手で簡単に解錠できる点が便利です。

オートロック機能による施錠忘れ防止

多くのスマートキーにはオートロック機能があり、ドアを閉めると自動的に施錠されるため、外出時の施錠忘れを防げます。この機能により、施錠忘れの心配がなくなり、安心して外出することができます。

物理的な鍵の紛失リスクの軽減

スマートキーを使えば、従来のような物理的な鍵を持ち歩く必要がなく、鍵の紛失や盗難の心配を軽減できます。カードキーの場合、万が一紛失しても登録を解除できるため、不正使用のリスクも低くなります。

高い防犯性

スマートキー付きの玄関は、ピッキングなどの不正解錠に対する防犯性が高いことも特徴のひとつです。鍵穴のないデザインの製品や、ピッキングに対して自動的に閉まる機能を備えた製品もあり、セキュリティ面でも非常に優れています。

遠隔操作や履歴確認が可能

一部のスマートキーは、スマートフォンアプリを通じて解錠履歴の確認や遠隔操作が可能です。外出先で家族の帰宅時間を確認したり、訪問者に遠隔で鍵を開けたりすることもでき、利便性が高まります。

これらの機能から、スマートキーは新築時の選択肢としてだけでなく、玄関ドアのリフォーム時にも導入されるケースが増えています。快適さと安全性を両立させるために、スマートキー付きの玄関は有効な選択肢と言えるでしょう。

スマートキー付きの玄関のデメリット

スマートキー付きの玄関は、利便性や安全性といった多くのメリットを持っていますが、導入前に考慮しておくべきデメリットや注意点もまとめました。

電池切れや停電時の機能停止

スマートキーは電子機器であるため、電池が切れたり停電が発生したりすると、施錠・解錠ができなくなる恐れがあります。定期的な電池交換を行い、停電時の手動対応も準備しておくことが必要です。

鍵や暗証番号の忘却による締め出し

スマートキーは暗証番号や専用アプリで操作することが多く、これらを忘れた場合、自宅に入れなくなる可能性があります。パスワード管理アプリの利用や、家族と情報を共有するなどして、緊急時への備えをしておきましょう。

指紋や入力情報の盗み見リスク

タッチパネル式の暗証番号キーでは、入力時に指紋が残ることがあります。これにより、他人に暗証番号を推測される可能性があるため、入力時の指の位置を工夫したり、手袋を使ったり、指紋を拭き取ったりする対策が有効です。また、盗み見のリスクを減らすために、入力時に周囲に怪しい人がいないか確認するなどの注意も必要です。

工事が必要な場合がある

電池タイプのスマートキーは比較的簡単に設置できますが、AC100V電源を使用するタイプは配線工事が必要です。壁を一部解体することもあるため、施工に伴う費用や手間を事前に確認しましょう。

手動キーの紛失によるトラブル

スマートキーのリモコンやタグキーを紛失した場合、再登録は可能ですが、手動キーを持っていないとシリンダーの交換が必要になることもあります。特に子どもがいる家庭では、手動キー付きのタイプを選んでおくと、万が一の時にも対応しやすくなります。

スマートキー付きの玄関はその利便性に注目しがちですが、デメリットについても事前にしっかり理解し、自分に合ったスマートキーを選択しましょう。

まとめ

スマートキー付き玄関は、防犯性が高く、鍵を持ち歩く手間が省けるなどの利便性も魅力です。一方、電池切れや停電時の対応、暗証番号の盗み見リスクといった課題もあるため、事前にスマートキーの特徴をよく理解するようにしましょう。また、リフォーム時にも導入できるので、新築以外でも選択肢に入れられます。安心して利用するためには、信頼できる業者を探して、相談しましょう。

執筆年月日:2024年12月

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