ガラスが割れる原因は?対策方法についても解説

「いつのまにか窓ガラスにヒビが入っていた」という経験はありませんか?窓ガラスにヒビ割れが生じる原因は、イタズラや何かが衝突することだけではありません。自然現象によってガラスが割れる場合もあります。
この記事では、ガラスが割れる原因や対策、割れてしまった場合の対処方法などについて詳しく解説します。
ガラスが割れる原因と対策方法
ガラスが割れる原因は、主に以下の5つが考えられます。
- 温度変化による熱割れ
- サビ割れ
- 経年劣化
- 飛来物による外的衝撃
- 空き巣による破損
それぞれの原因と対策方法を詳しく紹介します。
温度変化による熱割れ
熱割れとは、ガラス面の温度差が原因でガラスが割れる現象です。ガラスは、温度が上昇すると膨張する性質があります。一般的なガラスの場合、約60℃以上の温度差が生じると割れるリスクが高まります。
例えば、直射日光が当たり、温度が上昇した部分のガラスは膨張した状態です。一方、日陰の部分のガラスは、温度が低いままのため膨張しません。この膨張の差が一定以上になると、全体のバランスが崩れ、ガラスは割れてしまいます。
熱割れは、ガラスの端から直角に1〜2本の細いヒビが入るのが特徴です。放置するとヒビが枝分かれをして、複数本のヒビになる場合もあります。
【熱割れ対策】
熱割れに効果的な対策は、ガラス面に温度差を生じさせないことです。カーテンや家具をガラスに密着させると、温度差が生じやすくなります。ガラスの近くに物を置く場合は、ガラスから10cm以上離して設置しましょう。
熱風が出るエアコンの室外機はガラスから離したり、直射日光が当たらないように簾やサンシェードを活用したりする方法も効果的です。熱割れ対策を取りにくい場合は、耐熱性の高い強化ガラスや合わせガラスへの交換も検討すると良いでしょう。
サビ割れ
サビ割れとは、ガラス内部のワイヤーがサビることで膨張し、内側からガラスを押し広げて割れる現象です。
窓枠やサッシのパッキンが劣化していると、雨水や結露などの水分が侵入し、内部に湿気が溜まります。湿気が溜まったまま放置した場合、ワイヤーにサビが生じ、サビ割れのリスクが高まります。
サビ割れは、サビの影響を受けた部分に沿ってヒビが広がるのが特徴です。ワイヤーのサビは目視しやすいため、日頃から確認しておくと良いでしょう。
【サビ割れ対策】
サビ割れは、ガラスや窓のサッシを定期的に掃除し、湿気を溜めないことで予防できます。掃除する際には、窓枠やサッシが割れていないかも確認してください。ゴムパッキンが劣化すると、隙間から湿気が侵入するため、劣化が見られた場合には早めに交換することをおすすめします。
対策をしてもサビてしまう場合は、ワイヤーのない強化ガラスや合わせガラスへの交換を検討しましょう。
経年劣化
経年劣化もガラスが割れる原因の一つです。ガラスは耐久性の高い素材ですが、長年の使用や環境要因により、その耐久性は徐々に低下します。
雨風やホコリに晒されているガラスの表面は、微細な傷が付きやすいです。目に見えない細かい傷でも、蓄積するとガラスの耐久性に大きな影響を与え、ガラスが割れるリスクが高まります。
経年劣化によってガラスが割れると、ヒビ割れは枝分かれのように広がります。放置すると、ガラス全体が割れてしまうこともあるため注意が必要です。
【経年劣化対策】
ガラスの経年劣化は、定期的な掃除や部品交換で予防ができ、進行を遅らせられます。ガラス表面に付着した砂やホコリは、月に1回程度を目安に拭き取りましょう。
目に見えない細かな傷は、徐々に増えていきます。細かい傷が蓄積すると、ガラスが白く曇って見える場合があります。見た目が悪いだけでなく、わずかな衝撃でも割れる恐れがあるため、交換を検討しましょう。
飛来物による外的衝撃
ガラスの外側が割れている場合、多くは飛来物による外的衝撃が原因です。
ガラスが割れる恐れがある飛来物は、主に以下です。
- 台風や竜巻で飛ばされた小石やゴミ
- 車のタイヤが跳ね上げた飛び石
- ひょう、あられ、落雪、鳥などの衝突
外的衝撃を受けた場合、飛来物がぶつかった部分を中心とし、放射線状や蜘蛛の巣状にヒビ割れが広がります。強い外的衝撃を受けると、ガラスが粉々に割れ、破片が広範囲に飛び散る可能性もあるため非常に危険です。
【飛来物対策】
飛来物対策には、強化ガラスや飛散防止フィルムを使用し、ガラスの耐衝撃性を高めることが有効です。
台風時は、強風にともなう飛来物の被害が増加します。ガラスの外側にダンボールを設置するなど、一時的な対策も講じましょう。長期的な対策には、耐久性の高い雨戸や防護ネットなどの設置がおすすめです。環境によっては、強度の高いガラスへの交換も検討すると良いでしょう。
空き巣による破損
ガラスが割れる要因には、空き巣による破損もあります。空き巣が窓ガラスを破る主な手口と、それぞれの割れ方の特徴は以下です。
三角割り |
・窓ガラスとサッシの間のゴム部分をマイナスドライバーなどの工具でこじ開けて割る手口 |
打ち破り |
・物を投げ込むかバールなどの道具でガラスを破壊する手口 |
焼き破り |
・鍵付近のガラスをライターやバーナーなどで加熱し穴を開ける手口 |
ガラスの割れ方が経年劣化や飛来物などとは明らかに異なる場合は、空き巣による被害が疑われます。発見したら、警察に連絡をしてください。
【空き巣対策】
空き巣対策には、複層ガラスやCPマーク付きの合わせガラスなどへの交換がおすすめです。CPマークとは、防犯性能が高いと認められた建物部品に付けられるマークです。CPマーク付きの合わせガラスは、割れにくい特徴があるため、空き巣対策に効果があります。
防犯性を向上するなら、補助錠の設置やホームセキュリティの導入もおすすめです。
ガラスが割れてしまった場合の対処
対策を講じてもガラスが割れてしまうこともあります。ここでは、ガラスが割れてしまった場合の対処方法を紹介します。
割れたガラスの片付け
まず割れた破片を片付けましょう。ケガを防ぐため、必ず軍手とスリッパを着用してください。掃除機で破片を吸い取ると、内部に傷が付き、故障の原因になる場合があります。片付けは、ほうきやちりとりを使った掃き掃除がおすすめです。
掃き掃除をしても、細かい破片が残ることがあります。床は水拭きをしたり、カーペットには粘着ローラーを使ったりなど、徹底的に掃除してください。
火災保険の補償内容の確認
事故や災害が原因でガラスが割れた場合、火災保険が適用され、修理費用をカバーできる可能性があります。ただし、適用条件は契約内容や原因によって異なります。加入中の保険の補償内容をよく確認し、保険会社に連絡してください。
賃貸の場合は管理会社や大家さんへ相談
賃貸物件のガラスが割れていることに気付いたら、速やかに管理会社や大家さんへ連絡しましょう。
借主の故意や過失でガラスが割れた場合、修理費用は自己負担が基本です。一方、経年劣化や飛来物による破損は、借主の故意や過失ではないため、修理費用は貸主負担になるケースが多いです。万が一、不当な請求を受けた場合は、消費生活センターへの相談を検討しましょう。
ガラス修理を業者に依頼する
割れたガラスを放置するのは非常に危険です。防犯面のリスクも高まるため、業者に修理を依頼しましょう。
まずはガラス修理業者を探します。業者ごとに出張料や作業料、ガラスの価格が異なるため、複数の業者に見積もりを依頼し、比較・検討しましょう。見積もりを依頼する際には、出張費がかかる場合もあるため、依頼前に確認してください。
ガラス修理の際に覚えておきたいガラスの種類
ガラスにはさまざまな種類があり、特徴もそれぞれ異なります。せっかくガラスを交換しても、設置場所の環境に適さない種類では、再度ガラスが割れる可能性があります。ここでは、ガラス修理の際に覚えておきたい、ガラスの種類と特徴を確認しておきましょう。
フロートガラス
フロートガラスとは、一般的な透明ガラスです。住宅のさまざまな場所で幅広く使用されています。割れると鋭利な破片となり、非常に危険です。強度が低く、簡単に割れてしまうため、防犯性能は低いです。
網入りガラス
網入りガラスは、製造時に金網を挟み込んで製造するガラスです。都市計画法で防火地域や準防火地域に指定されている場合は、延焼を防ぐ防火設備としての使用が義務付けられています。
網入りガラスは、割れても破片が枠から落ちにくい特徴があります。ただし、強度は高くないため、防犯目的には適していません。
強化ガラス
強化ガラスとは、フロートガラスに熱処理を施し、急冷して製造するガラスです。一般的なフロートガラスの3〜5倍の強度があります。
強化ガラスは、割れにくい特徴がありますが、割れると細かく砕け散ります。大きな破片でケガをするリスクは低くなるものの、侵入者は容易に中に入りやすくなるため、防犯対策には不向きです。
合わせガラス
合わせガラスは、2枚以上のガラスを樹脂製の中間膜で接着したガラスです。割れても飛び散りにくく、耐貫通性にも優れているため、破壊されにくいのが特徴です。
合わせガラスの性能は、中間膜の厚さや材質によって異なります。防犯性能に優れた製品には、CPマークが付けられており、防犯対策に適した選択肢として注目されています。
複層ガラス
複層ガラスとは、2枚のガラスの間に断熱性能を高める中空層を設けたガラスです。2枚のガラスは用途によって選べます。防犯性の高い合わせガラスや網入りガラスなどを組み合わせると、防犯・防火の両方を兼ね備えたガラスも作れます。
まとめ
ガラスが割れる原因には、熱割れやサビ割れなどの種類があり、割れ方にもそれぞれ特徴があります。ガラス割れの放置は、ケガや事故などの二次被害につながる恐れがあるため、放置せず、速やかな対応を心がけましょう。
ガラスが割れる原因を知り、割れないための対策を講じるとともに、設置場所や住宅環境に適したガラスを選ぶことも大切です。ガラスが割れるリスクを軽減するためには、ガラスの専門家に相談するのもおすすめです。
執筆年月日:2025年1月