終活を50代から始めた方が良い理由|やるべきことや注意点について解説

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終活を50代から始めた方が良い理由|やるべきことや注意点について解説

50代は、終活を始めるのに適した時期です。「早すぎる」と感じるかもしれませんが、早い時期から終活を始めることには、多くのメリットがあります。

この記事では、終活を50代から始めた方が良い理由を解説するとともに、やるべきことや注意点についても紹介します。

終活の必要性が高まっている背景

終活の必要性が高まっている背景には、少子高齢化や長寿化といった社会課題に加え、現代における家族構成の変化も大きく影響しています。

厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況国民生活基礎調査の概況」によると、2023年現在における全国の世帯総数は約5,445万世帯でした。1953年の約1,718万世帯と比較すると、約70年間で世帯総数は3倍以上に増加しています。

一方、1世帯あたりの人数は、1953年の5人から2023年には2.23人へと半数以下に減少しました。この数値から、日本の家族構成は大きく変化し、核家族化が進んでいることがわかります。

2023年現在、65歳以上の高齢者がいる世帯は約2,695万世帯です。そのうち、単独世帯は約855万世帯であり、3世帯のうち1世帯が高齢者の一人暮らしという状況です。

核家族化や高齢者による一人暮らしの増加に伴い、老後や死後に備えて身の回りを整理する終活の必要性が高まっています。

参考:2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

終活はいつから始めるべき?

終活はいつから始めるべきかについて、明確な基準はありません。しかし、健康状態の急激な悪化や認知症の発症によって判断能力が低下してからでは、終活を始めるのは難しくなります。

日本の平均寿命は延び続けており、2019年時点での平均寿命は男性は約81歳、女性は約87歳です。健康上の問題がなく、日常生活を送れる健康寿命は、男性は約73歳、女性は約75歳です。

終活を始めるのに、早すぎることはありません。健康寿命を見据え、早い時期から計画的に進めると、充実した老後の準備が行えます。

参考:令和5年版高齢社会白書(全体版)|内閣府

50代で終活を始めた方が良い理由

「終活は高齢になってから取り組むもの」と考える人は多いでしょう。なぜ50代で終活を始めた方が良いのか、主な理由を3つ解説します。

体力・判断力があるうちに準備できる

50代で終活を始めた方が良い理由のひとつとして、体力・判断力があるうちに準備できることが挙げられます。

終活では、身の回りの整理や法的な手続きの準備などを行います。これらの作業には、体力や正確な判断力が欠かせません。50代は、体力や判断力が十分に備わっている年代です。心身ともに元気な年齢から始める方が、よりスムーズな終活が行えます。

セカンドライフの計画を具体的に立てやすい時期

50代は、子どもが独立したり、親の介護が必要になったりなど、人生の中で大きな変化が起こりやすいタイミングです。これからの生活をどう過ごすか、セカンドライフの計画を具体的に立てやすい時期とも言えます。

いざセカンドライフが始まってからでは、十分な計画が立てられない可能性があります。50代のうちから終活を始め、時間に余裕を持って計画を立てれば、有意義なセカンドライフが過ごせるでしょう。

老後の資金計画に余裕が生まれる

老後の資金計画に余裕が生まれることも、50代で終活を始めた方が良い理由です。

老後の生活にはお金が必要不可欠であり、理想とする老後を送るためにはしっかりとした資金計画を立てることが重要です。

50代は、平均寿命まで約30年の余裕があります。現状は資金が少なくても、老後までに間に合うよう、資金を工面することは可能です。50代から定年後の収入源を確保したり、資産運用したりすると、安定した老後を迎える準備ができます。

50代の終活でやっておきたいことリスト

終活をスムーズに進めるためには、やっておきたいことをリスト化しておくと便利です。ここでは、50代の終活でやっておきたいことを4つお伝えします。順番にこだわる必要はありません。無理なく着手できる項目から始めてください。

これからの人生プランを考える

終活を始めるにあたって、これからの人生プランを考えてみましょう。

終活は、単なる死後の準備ではなく、人生をより豊かにするための活動です。定年後の生活をどう過ごすのか、行ってみたい場所や住んでみたい場所などを思い浮かべてみましょう。身近なことや簡単なことでも構いません。興味がある習い事や趣味をリストアップするのもおすすめです。

自分の希望や理想を明確にすると、後悔のない選択ができます。これからの人生が充実したものになれば、人生の最期も自分らしく迎えられます。

身の回りの断捨離

50代の終活では、身の回りの断捨離も行いましょう。断捨離には、体力と気力、そして時間が必要です。捨てるべきか否かの判断力も求められるため、早めに取り掛かるべき作業です。

不要なものを手放すことは、心の整理につながります。自分にとって大切なものは何か、価値観の見直しもでき、今後の生き方を考えるきっかけになります。物理的な断捨離だけでなく、デジタル断捨離も忘れずに行いましょう。

身の回りを整理しておくと、遺品整理がスムーズに進み、残された家族の負担も軽減できます。

財産の整理

50代の終活において、財産の整理もやっておきたいことのひとつです。預貯金や株式、保険、年金、不動産など、金銭的な価値があるものを整理します。

口座が複数ある場合や使っていない口座がある場合は、あらかじめひとつにまとめておくと財産の把握がしやすくなります。借金や借り入れなど、マイナスの財産についても整理をしてください。

すべて財産の整理をし、総額を把握しておくと、現実的な老後計画が立てられます。

エンディングノート・遺言書の作成

エンディングノートとは、死後の希望や家族や友人へのメッセージを書き留めておくノートです。書き方に決まりはなく、自由に書き込めるため、50代の終活におすすめのツールです。

ただし、エンディングノートに法的効力はありません。財産分配や遺産相続について、自身の意思を明確にしたいのであれば、遺言書の作成をおすすめします。遺言書は、法的効力がある重要な書類です。分の意思を確実に残しておくと、財産相続に関するトラブルを回避でき、大切な家族に安心感を与えられます。

独身・おひとりさまが50代で行うべき終活のポイント

独身・おひとりさまの場合、「残す相手がいない」といった理由から、終活を後回しにする人がいるかもしれません。しかし、終活は自分自身のため、そして残された親族に対する配慮として行うことをおすすめします。

独身・おひとりさまが50代で行うべき終活のポイントを確認しておきましょう。

葬儀やお墓の準備をしておく

独身・おひとりさまが葬儀やお墓の準備をしておくことは、自分らしい人生の最期を迎えるために重要です。

葬儀を行うかどうかは、故人や遺族の希望に委ねられています。葬儀は必ずしも行う必要はありませんが、希望がある場合には費用や規模などを明確にし、エンディングノートや遺言書に記しておきましょう。事前に葬儀社と相談し、見積もりやプランを確認しておくのもおすすめです。

近年、ライフスタイルや価値観の変化に伴い、お墓の在り方は多様化しています。従来のような伝統的なお墓だけでなく、永代供養墓や納骨堂といった選択肢も増えています。

お墓に関しては、親族間で意見が分かれるケースもあり、トラブルにつながるケースも多いです。事前に話し合い、合意を得ながら準備を進めてください。

生前契約や身元保証サービスについて調べる

独身・おひとりさまが50代で終活を行う際には、生前契約や身元保証サービスについても調べておきましょう。

生前契約とは、自分の判断能力が亡くなったときに、さまざまな手続きを第三者に委任するサービスの名称です。生前契約の締結によって、自分の希望を明確にでき、万が一の事態に備えられます。

具体的には、医療に関する生前契約や財産に関する生前契約などがあります。葬儀やお墓の生前契約も可能です。サービス内容の詳細や費用は、事業者によって内容が大きく異なるため、事前に確認してください。

身元保証サービスとは、身元保証人の役割を代行してくれるサービスです。独身・おひとりさまの場合、身元保証人の確保が難しいこともあります。身元保証サービスを利用すれば、医療機関への入院や介護施設への入居時など、身元保証人が求められる手続きもスムーズに進められます。内容や費用を確認して、自分に合ったサービスを活用してください。

終活を進める際の注意点

50代は終活を始めるのに適した時期ですが、いくつかの注意点もあります。正しい終活を始めるためにも、50代で終活を進める際の注意点を確認しましょう。

家族や周囲としっかり相談・共有する

50代で終活を進める際は、家族や周囲としっかり相談し、具体的な内容を共有することが大切です。

終活は、より豊かな人生を送るための前向きな活動です。しかし、家族でも価値観はそれぞれ異なります。50代という早い時期から終活を始めることに、戸惑う家族がいるかもしれません。

自分の意見や希望を伝えることは大切ですが、家族の意見を聞くことも大切です。しっかりと相談し、お互いが納得できる形で終活を進めてください。

プランや準備内容は定期的に見直しを行う

老後や死後に関するプランや準備内容は、定期的に見直しを行いましょう。

年を重ねるとともに、環境や健康状況は変わり、自身の考えや気持ちにも変化が生じます。そのため、終活は1回で完了するのではなく、長期的に進めていく必要があります。定期的に見直し、柔軟に調整してください。

まとめ

50代は体力や判断力があり、セカンドライフを具体的に想像できやすい年代であることから、終活を始めるには最適な時期です。人生をどのように送りたいのかを考えたり、身の回りの断捨離をしたりなど、無理のない終活を始めてみてはいかがでしょうか。

50代の終活に迷いがあるなら、相続問題に詳しい弁護士や行政書士に相談し、適切なサポートを受けることをおすすめします。

執筆年月日:2025年1月
※内容は2025年1月時点の情報です。法律や制度は改正する場合があります。

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