お葬式の一般的な流れ|家族が行うことや必要な手続きについて解説

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お葬式の一般的な流れ|家族が行うことや必要な手続きについて解説

お葬式の際、喪主や遺族は短期間で多くの手続きを進めなければなりません。事前に流れを知っておくことで、急な事態にも落ち着いて対応できるでしょう。

この記事では、葬儀の日程の決め方から一般的な流れ、お通夜・告別式の手順の他、故人にかかわる公的手続きや四十九日法要など、葬儀の後に行うべきことも解説します。親族や参列者への対応や必要な準備を理解するための参考にしてください。

葬儀の日程

葬儀の日程は、逝去後すぐに決める必要があります。短かくて3日ほどの日程になりますが、喪主や親族の都合、遠方からの参列者への配慮などを考慮しながら決定します。法律により、死亡から24時間以内の火葬は禁じられているため、通夜は翌日以降の夜に行われることが一般的です。逝去当日から葬儀までの一般的な流れは、以下の通りです。

1日目(逝去当日)

2~3日目(通夜)

3~4日目(葬儀)

逝去、安置、葬儀の打合せ

納棺、通夜

葬儀、火葬、換骨法要・初七日法要、精進落とし

葬儀までの流れ

葬儀の流れは大きく分けて、逝去から火葬までの各段階に分かれています。その後、法要や精進落としを経て一区切りとなります。遺族としてのマナーを守れば、参列者への配慮や感謝を示すことができるでしょう。ここでは、日本で主流となっている仏教形式における葬儀までの一般的な流れについて詳しくご紹介します。

逝去

死亡が確認されたら、家族や親族に訃報を伝え、菩提寺(先祖代々のお墓を管理する寺院)がある場合は連絡を入れます。身近な人には、危篤になった時点で連絡をしておくのが望ましいでしょう。

葬儀の手配も早めに進める必要がありますが、亡くなった状況によって対応が異なります。病院で亡くなった場合は、医師に死亡診断書を発行してもらいましょう。在宅で亡くなった場合は、かかりつけ医や救急に連絡し、医師の確認を受けます。事故死や突然死の場合は、警察への連絡が必要です。

万が一に備え、あらかじめ葬儀社を決めておき、不明点がある場合はすみやかに相談しましょう。

安置

遺体は火葬までの間、自宅や安置施設、斎場などに安置します。病院で亡くなった場合は、看護師による「エンゼルケア」を受けた後に霊安室で一時的に安置されますが、その後は搬送の手配が必要です。

自宅で亡くなった場合は、枕飾りを整えて安置するのが一般的です。夏場や長期間の安置には、ドライアイスでの処置を施します。搬送や安置は専門的な知識が必要なため、すみやかに葬儀社を決めて相談しましょう。また、菩提寺がない場合は、葬儀社から紹介してもらえます。

葬儀の打ち合わせ

葬儀の打ち合わせでは、決めるべきことが多くあります。スムーズに進めるため、以下のポイントを整理しておきましょう。

  • 喪主の決定
  • 故人の生前の希望や遺族の意向確認
  • 葬儀の形式と規模(一般葬や家族葬、参列者の人数など)
  • 菩提寺や僧侶への連絡、日程調整
  • 通夜・告別式の日時の決定
  • 式場の選定(自宅・寺院・斎場などから適切な場所を選ぶ)
  • 受付などの手伝いの人選と連絡
  • 式場の装飾・式典内容の確認
  • 費用の確認

なお、葬儀の形式は宗派によって異なる場合があります。費用を確認する際は、見積もりを提出してもらい予算内で調整しましょう。以上の内容が決まったら、すみやかに近親者や関係者へ連絡します。

納棺

納棺とは、故人を棺に納める儀式で、遺族が立ち会いながら葬儀社のスタッフが進めます。遺体を清め、死装束を整えた後、愛用品や生花を一緒に納めることができます。ただし、火葬時に燃えにくい金属類やガラス製品、電池を含むものは棺に入れられないこともあるため、確認が必要です。

また、納棺の儀式は安置施設の状況により執り行えない場合があるため、葬儀社に相談しましょう。納棺後は棺の蓋を閉じ、通夜や葬儀へと進みます。

通夜

通夜は、故人との最後の夜を過ごす大切な時間です。一般的に告別式の前夜に行われます。基本的な流れは以下の通りです。

  • 開始前の準備:供花・弔電の確認、返礼品の準備、喪主の挨拶文の用意
  • 受付(開始30分前~):遺族は僧侶や参列者を迎え、開始20分前には遺族席へ移動
  • 通夜開始:司会の挨拶で開式、僧侶の読経
  • 焼香:喪主・遺族・参列者の順で焼香
  • 弔辞・弔電の紹介:必要に応じて
  • 喪主挨拶:参列への感謝や故人の思い出を伝える
  • 閉会:翌日の葬儀の案内
  • 通夜振る舞い:食事を提供し、喪主が締めの挨拶を行う

準備のため、遺族は通夜開始の2時間ほど前に会場入りしておきます。形式や流れは宗派や地域によって異なることもあるため、葬儀社に相談しましょう。

葬儀

葬儀は、故人とのお別れの時間です。通夜に続き、重要な儀式として行われます。遺族は、葬儀開始の1時間前には式場に到着しておきましょう。

  • 開始前の準備:供花・弔電の確認、返礼品の準備、喪主の挨拶文の用意
  • 受付(開始30分前~):遺族は僧侶や参列者を迎え、開始15分前には遺族席に着席する
  • 葬儀開始:司会が開会の挨拶をして開式、僧侶の読経後、弔辞・弔電が紹介される
  • 焼香:喪主、遺族、参列者の順で焼香を行う
  • 喪主挨拶:参列者への感謝と故人の思い出を伝える
  • 告別式:棺の中を生花で飾り、最後のお別れをする
  • 出棺:棺のふたを閉じ、遺族や親族で棺を霊柩車に運び火葬場への出発を見送る 

出棺の後は、遺族や親族も火葬場へ移動します。流れは宗派や地域によって異なることもあるため、事前に葬儀社とよく打ち合わせしましょう。

火葬

火葬場へ向かう親族をあらかじめ確認し、人数が多い場合は葬儀社に依頼し、マイクロバスを手配しておきましょう。一般的に、火葬は下記のような流れで行われます。

  • 到着後、係員の案内に従い、最後のお別れを行う
  • 炉前で僧侶が読経し、遺族・親族が焼香を行った後、故人を火葬する
  • 火葬が終わるまでの間、控室で待機する
  • 火葬終了後、二人一組で箸を使い「骨上げ」を行う。遺骨を骨壺に収める

収骨後は埋葬許可証が発行され、骨壺とともに遺族に渡されます。埋葬許可証は納骨の際に必要な重要書類のため、大切に保管してください。

火葬の流れは自治体によって異なる場合があるため、事前に葬儀社に確認しておきましょう。また、地域によっては、葬儀の前に火葬が行われる場合もあります。

還骨法要・初七日法要

還骨法要は、火葬後に遺骨が自宅や菩提寺へ戻った際に行う法要です。僧侶を招いて読経をしてもらい、遺族が焼香を行います。地域や宗派によっては、遺骨を安置した後に白木位牌や遺影を飾り、祭壇を整えることもあります。

初七日法要は、故人が亡くなってから7日目に行う法要です。かつては自宅や寺院で僧侶を招いて執り行いましたが、最近では葬儀当日に繰り上げて行うことが一般的です。還骨法要・初七日法要の進行や作法は、宗派や地域によって異なるため、事前に葬儀社や菩提寺と相談しておきましょう。

精進落とし

精進落としは本来、遺族が四十九日までの間に肉や魚を絶ち、忌明け後に通常の食事に戻る儀式でした。現在では、火葬後に喪主が僧侶や親族、お世話になった人々を招き、感謝の気持ちを込めて会食を行います。会の始めと終わりに喪主が挨拶をし、一連の儀式が終了します。

葬儀のあとにやるべきこと

遺族には葬儀の他にもやるべきことが多くあります。ここでは、故人にかかわる公的手続きや四十九日法要、納骨・埋葬について詳しく解説します。

公的手続き

公的手続きには、死亡後すぐに行うべきものもあります。主な手続きは以下の通りです。

手続きの内容

提出期限

提出する公的機関

年金受給停止

厚生年金:10日以内

国民年金:14日以内

年金事務所

健康保険の資格喪失届

健康保険:5日以内


国民健康保険・後期高齢者医療制度:14日以内

健康保険:年金事務所

(健康保険の場合は勤務先が手続きするケースが多い)


国民健康保険・後期高齢者医療制度:故人が住んでいた市町村役場

介護保険資格喪失届

14日以内

故人が住んでいた市区町村役場

住民票の世帯主変更届

14日以内

故人が住んでいた市区町村役場
※故人が世帯主だった場合

葬祭費の請求

2年以内

国民健康保険か後期高齢者医療保険に加入していた場合、市区町村役場

故人の未支給年金の請求

5年以内

年金事務所

ケースによっては他にも手続きが必要なものもあるため、不明な点は葬儀社や故人が住んでいた市区町村役場の窓口に相談しましょう。

四十九日法要

四十九日法要は、故人が亡くなってから49日目に行われる重要な儀式です。この日を境に忌明けとされ、故人の霊が成仏し、極楽浄土へ旅立つと信じられています。

法要では遺族や親族が集まり、僧侶による読経が行われ、儀式の後には会食で故人を偲びます。また、この機会に納骨を行うことも一般的です。

四十九日法要の詳細な進行や準備については、宗派や地域の慣習によって異なるため、事前に菩提寺や葬儀社と相談し、適切な準備を進めましょう。

納骨・埋葬

納骨・埋葬は、故人の遺骨を安置する大切な儀式で、多くの場合四十九日法要に合わせて行われます。納骨の際には「埋葬許可証」が必要で、これは火葬後に自治体から交付されます。許可証がなければ納骨ができないため、大切に保管しましょう。

納骨先には、家族墓や永代供養墓、納骨堂などの選択肢があり、近年は樹木葬や散骨も注目されています。故人の希望があった場合はできるだけ沿うように手配しましょう。納骨の時期や方法は家族でよく話し合い、事前に菩提寺や霊園と相談することが大切です。

葬儀の一般的な費用相場

葬儀費用は規模や内容によって異なります。ここでは、葬儀の内容別に一般的な相場を紹介します。

【一般葬】
通夜・告別式を行う一般葬の費用相場は、100~200万です。この費用には、斎場使用料、祭壇、棺、遺影写真、会食費などを含みます。

【家族葬】
「家族葬」は身内のみで小規模に行う葬儀で、費用相場は50~150万円です。会葬者が少ないため、会食費は抑えられます。

【一日葬】
通夜なしで告別式のみを行う一日葬の相場は、40~100万円です。通夜を省略することで費用が軽減できます。

【直葬】
費用を抑えられる「直葬」の相場は、20~50万円です。通夜・告別式は行わずに、火葬のみを行います。僧侶の読経などは別途費用がかかる場合があります。

これ以外の追加費用として、僧侶へのお布施(5万~50万円、宗教や宗派による)、火葬料(自治体によって無料~10万円程度)などがかかります。葬儀費用は地域や葬儀社によって異なるため、見積もりをとって確認しましょう。

まとめ

お葬式は、故人を失った悲しみの中で進めなければならない儀式であり、親族などへの訃報の連絡から納骨・埋葬まで、多くの手続きが伴います。急な事態に備えるためにも、事前の心構えが大切です。生前に故人の希望を確認し、準備しておくことで遺族の負担を軽減できるでしょう。

また、地域や宗派によって法要の進め方は異なるため、菩提寺や葬儀社に相談することも大切です。葬儀の流れや進めるべきことを整理し、心を込めて故人を見送りましょう。

執筆年月日:2025年1月
※内容は2025年1月時点の情報です。法律や制度は改正する場合があります。

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